
東大を卒業後、戦略コンサル・VCで勤務していた「チルbot」です!
皆さんは、何かを買ったり、サービスを選ぶ際にどのような基準で決めますか?
私の場合、まずはその商品/サービスの運営会社、そして業界全体の分析を行います。運営会社の経営状況や拡大状況を分析すると、表面的な商品/サービスからは一見して見えないリスクが見えてくるからです。
これは脱毛クリニックの検討では特に重要です。実は経営難に陥り破産/倒産した脱毛サロン/クリニックは数多く、先払いした脱毛サービスが受けられず、返金もされない最悪の状況に追い込まれてしまった被害者がたくさんいるのです。
今回は、藤田ニコルさんらを起用していたものの2022年に倒産した脱毛ラボについて、運営会社や事業の分析をしたいと思います。2024年12月にアリシアクリニックが破産を申請し、多数の消費者が被害を被ったニュースは衝撃をもたらしましたが、実は破産以前にもあった悪いシグナルはなんだったのでしょうか?非常に示唆に溢れており、脱毛を考えている方であれば絶対に知っておいて損はないと断言します。
脱毛を検討している方はもちろん、ビジネスパーソンの方にも役立つ内容になっているはずです。
(※脱毛含む様々な経験/分析の中でも最もおすすめなのが裸眼生活が手に入るICL手術です、是非こちらから合わせてご覧ください)
※ステマ規制への対応方針:当サイトの運営にあたっては、実体験を元に公平性/客観性を心掛け、読者の皆様を第一に取り組んでいます。商品提供や広告依頼を受け、広告/PRの内容が含まれることもありますが、コンテンツの基準や判断軸には一切関与させておりません。
はじめに|脱毛サロン選びには経営状況の安全性が最重要
2024年12月にアリシアクリニックが破産を申請したニュースは、脱毛業界に大きな衝撃をもたらしました。実は以前からもミュゼプラチナムやエタラビ、脱毛ラボなど、多くの脱毛サロンが経営難や破産をしています。こうした状況からもわかるように、脱毛サロン・クリニックを選ぶ際には「経営状況の安全性」をチェックすることが何より重要なのです。
本記事では、そんな倒産・破産が相次ぐ脱毛業界において2024年12月に破産申請を行い衝撃を与えたアリシアクリニックを取り上げ、会社情報や歴史、破綻前から明らかだった経営リスクの有無などを分析します。
あわせて、近年の業界動向や安全な脱毛サロン選びのポイント、そして筆者が最も信頼できると考えるSBCメディカルグループの最大手ブランド湘南美容クリニックについてもご紹介します。さらに、過去の破産事例でも全額保証を受けられた実績があるMarriott Bonvoy アメリカン・エキスプレス・プレミアム・カードの活用法も解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

全国225院に展開
2023年にゴリラクリニックを買収、2024年に上場を果たした国内最大手・SBCメディカルグループの最大ブランド。上場により経営状況の透明性とガバナンスが担保、突然の倒産リスクが極めて低い。
脱毛ラボが倒産した理由
早速ですが、脱毛ラボが2022年に倒産してしまった理由は以下の通りだと推察されます。
- 有名タレント起用に伴う多額の広告費
- 新型コロナウイルスによる顧客の減少
- 景品表示法違反による信用低下
簡潔には以上終了なのですが、今回の記事の目的は「皆さんが脱毛サロンやクリニックを選ぶときに身を守れるようになってもらうこと」です。
自分ごととして理解を深めるために、脱毛サロンの倒産や閉店について詳しく説明したいと思います。
脱毛を含むエステティック業の倒産や閉店は多い
実は脱毛サロンやクリニックの倒産や閉店/閉業は非常に多いのです。
脱毛クリニック・サロンの倒産は全体的に増えている
2024年に東京商工リサーチが実施した「エステティック業倒産動向調査」によると、脱毛サロン・クリニックを含んだエステティック業の倒産は、2024年に99件で過去最多となっています。

同様の調査は2019年にも「2019年エステティック業倒産動向調査」として行われていますが、2019年に73件で過去最多となっていた倒産数はコロナ禍で一服したものの、2023年、2024年と過去最多を更新しています。

これはおそらく、コロナ禍における補助金や支援金により一時的に倒産が抑制されたものの、支援策の終了後に実態としてのビジネスが持続できず倒産が増加したことが要因と考えられます。
小規模な個人の脱毛サロンの倒産が増えている
そして2019年調査では、倒産したエステの負債総額は29億2,200万円でしたが、その内訳は負債1億円以上の大規模なものが5件、負債1億円未満の比較的小規模なものが68件で全体の9割以上となっており、小規模な個人サロンの倒産が進んでいることがわかります。
エステティックサロンは参入障壁が低く、個人経営の個人サロンが増えていますが、施術内容の差別化ができないため顧客獲得が難しく、顧客獲得に費やす広告費などがかさんで倒産してしまうパターンが増えているのです。
大規模な脱毛クリニックの倒産も大きな話題・社会問題に
近年では大規模クリニックの倒産も世の中を騒がせています。2024年12月に破産した医療脱毛サロン「アリシアクリニック」運営会社2社の倒産では、約10万人が被害を受けました。
また、「全身脱毛サロンC3」運営の株式会社ビューティースリー(2023年9月破産、負債80億円)の被害者(債権者)は約4万6,000人、「脱毛ラボ」運営の株式会社セドナエンタープライズ(2022年8月破産、負債60億円)は約3万人、「銀座カラー」運営の株式会社エム・シーネットワークスジャパン(2023年12月破産、負債58億5,700万円)は約10万人など、大型倒産で被害者の多さが目立ちます。
有名タレントなどを起用した脱毛サロンの施術契約を信頼し、多額の前払金を支払い、未施術分が残ったまま倒産してトラブルに発展しているのです。
脱毛サロン/クリニックの倒産の影響
脱毛サロンが破綻すると、顧客が前払いした施術代の返金は困難なケースが大半です。被害者は2023年〜2024年の2年超で少なくとも約27万人に達し、信販会社やクレジットカード会社との対応に追われる利用者も少なくありません。脱毛サービス自体に対する消費者の信頼感が低下し、業界全体への不信感が広がる結果となっています。
脱毛サロン/クリニックの撤退・閉店も増えている
そして倒産や破綻まで至らずとも、事業がうまくいかずに撤退/閉店してしまうケースも増えています。
特に最近では、元NEWSの手越祐也さんがプロデュースする「TEGOSHI BEAUTY SALON」だけでなく、俳優の新田真剣佑さんがプロデュースする「AmSALON」など、有名人・芸能人の人気や知名度を武器にした脱毛サロンやクリニックが増えていますが、軒並み撤退に追い込まれているのです。
脱毛サロン/クリニックのビジネスモデルの特徴
なぜ脱毛サロンやクリニックの倒産や撤退が相次いでいるのでしょうか?まずはその前提として、脱毛サロン/クリニックのビジネスモデルの特徴を理解することが重要です。
- 根本的な差別化が難しく参入障壁が低い
- 広告費を中心とした費用が先出する
- キャッシュは中長期的に回収する
- 黒字化まで時間がかかり中長期目線の経営が必要
これらの特徴については以下で詳しく解説しているのでぜひご覧ください。
①根本的な差別化が難しく参入障壁が低い
脱毛サロン/クリニックのビジネスモデルの特徴の1つ目は、「根本的な差別化が難しく参入障壁が低い」です。
まず差別化については、多くのサロンやクリニックが提供する脱毛サービス(例えば、レーザー脱毛、光脱毛、ニードル脱毛)は、基本的に標準化された同じ技術に基づいており、機器についても最新のレーザー機器や光脱毛器が多くのサロンで採用されています。つまりサロンやクリニック間で提供する施術内容に大きな差異が生まれにくいのです。
さらに参入障壁については、大規模な設備投資や高額なライセンス費用が不要なため、比較的少ない資本で新規参入が可能で、小規模な個人サロンが次々と市場に出現しています。
これにより、脱毛サロン/クリニックはサービスの質や内容での差別化が難しく、広告投資による知名度競争や価格競争に陥りやすくなるのです。この点が2つ目の特徴に繋がっていきます。
②広告費を中心とした費用が先出する
脱毛サロン/クリニックのビジネスモデルの特徴の2つ目は、「広告費を中心とした費用が先出する」です。
脱毛サロン/クリニックの運営に必要な費用としては主に以下のようなものがありますが、このうち大きな割合を占め、かつ重要度が高いものが「広告費」です。
- 広告費
- 店舗賃料
- リース料(脱毛機器を借りている場合)、または減価償却費(脱毛機器を購入した場合)
- 人件費
脱毛サロン・クリニックを開業しただけでは当然お客さんは来てくれないので、広告やプロモーション、キャンペーンで認知を広げ、来客を促進する必要があります。こうした活動全般にかかる費用が広告費です。上記のように根本的な差別化が難しく競合も多い中で、各社が様々な広告や、割引クーポンなどのプロモーションを行っています。
当然ですが、広告費を用いた活動の結果、お客さんが来店・契約をしてくれないと収益は発生しません。そのため収益を得るよりも先に広告費や店舗賃料、リース料、人件費などの費用が必要となり、お客さんが来るまで永遠にその費用を支払い続けなければいけなくなります。
このように広告で獲得した顧客と契約し、多額の前払金を運転資金に充てる手法で事業を拡大している脱毛サロンも多いですが、契約数が鈍化すると、出店費用や広告費などが負担になり、前払金を返金できない状況に陥るのです。
③キャッシュは中長期的に回収する
脱毛サロン/クリニックのビジネスモデルの特徴の3つ目は、「キャッシュは中長期的に回収する」というものです。
種類にもよりますが、脱毛には10万円以上の費用が必要となります。多くの人にとっては高額に感じられるでしょう。
光脱毛 (美容脱毛) | ニードル脱毛 (電気脱毛) | レーザー脱毛 | |
---|---|---|---|
処置 | 光で毛根にダメージを与える | 針を刺し電流で一本ずつ処理 | レーザー光で毛根を破壊する |
特徴 | 2000年代に登場した 最も新しい脱毛方法。 近年でも新しい手法が登場。 | 150年近い歴史を持つ脱毛方法で、 ダンディハウス・メンズTBCなど 歴史あるクリニックが主流 | 1980年代に登場した 比較的新しい脱毛方法。 費用は高額でお試しはない |
自己処理を減らすために 必要な通院数と費用 | 8〜10回 (8〜10万円) | 5〜6回 (15〜20万円) | 5〜6回 (7〜9万円) |
ツルツルにするために 必要な通院数と費用 | 〜25回 (20-22万円) | 〜15回 (25-35万円) | 〜13回 (13-18万円) |
そのため多くの脱毛サロン/クリニックは分割払いに対応しており、月々数千円から脱毛を受けられるプランも用意しています(4年間で48回分割払いものプランも多いです)。つまり脱毛サロン・クリニックは一度にまとまった現金収入を得る場合だけではなく、分割された金額を少しずつ回収する場合も多いということです。
例えば現金支払いのラーメン屋であれば、ラーメンを提供した瞬間に収益が発生して現金を回収することができますが、脱毛サロンの場合はゆっくり時間をかけて現金を回収しなければいけないのです(※ファクタリングサービスなどを使っている事業者も多いとは思いますが、いずれにせよキャッシュフローを圧迫することには変わりません)。
④黒字化まで時間がかかり中長期的な経営が必要
脱毛サロン/クリニックのビジネスモデルの特徴の4つ目は、「黒字化まで時間がかかる」というものです。
上述したように、脱毛サロン/クリニックにはお客さんを呼ぶための費用が先に必要となり、その結果お客さんが脱毛サービスに契約してくれてもすぐに全額を回収できるわけではなく、現金を少しずつ回収していく形になります。
そのため、広告が成功してお客さんを呼び込めたからと言ってすぐにその利益が発生するわけではなく、中長期的に時間をかけて利益を回収していくようなモデルになるのです。結果として、中長期目線でのシミュレーションを組んで、売上や利益など目先の誘惑に負けずにコツコツと経営をしていく必要があると考えられます。
後述しますが、こうした中長期的な経営ができず、誘惑に負けて出店やプロモーションを急ぎ、キャッシュフローを圧迫してしまうことが脱毛サロン・クリニックの倒産の主な理由だと考えられます。
脱毛サロン/クリニックのリスク/危険性
脱毛サロン/クリニックのビジネスモデルの特徴を踏まえ、倒産や撤退に直結するその中に潜んだリスクや危険性を説明したいと思います。
- 競争環境の激化
- 顧客の取り合いによる低価格競争、広告費の高騰
- 短期目線の経営によるキャッシュフローの圧迫
これらの特徴については以下で詳しく解説しているのでぜひご覧ください。
①競争環境の激化
脱毛サロン/クリニックのリスクの1つ目は「競争環境が激化していること」です。
最近では、ローランドさんなど有名人・芸能人が脱毛サロンのプロデュースを始めたりと、脱毛業界への新規参入が増えています。Youtubeなどで脱毛サロンの広告やキャンペーンを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
当然その結果成功するかは別問題なのですが、以下のような理由から脱毛業界は参入障壁が比較的低いのです。
- 在庫不要で低リスク
- 人材育成が容易
- 多数乱戦の業界構造
- 脱毛器具・機械の低価格化
そして参入障壁が低いということは、参入する事業者が増える、つまり競合・ライバルが増えやすいということです。
脱毛に対するニーズは増えているものの、当然脱毛サロンやクリニックの数が増えれば、そのニーズを抱えているお客さんの取り合いになります。脱毛業界は、競合が多いレッドオーシャンの厳しい競争環境になりつつあるのです。
②顧客の取り合いによる低価格競争、広告費の高騰
脱毛サロン/クリニックのリスクの2つ目は「顧客の取り合いにより低価格競争や広告費の高騰が進んでいること」です。
脱毛業界の競争環境が激化しているということは伝えさせていただきましたが、そうした環境で脱毛サロンやクリニックはどうすれば良いのでしょうか?他よりも安くサービスを提供したり、大々的な広告やキャンペーンを実施して、自分達のサロンやクリニックに目をつけてもらうようにしなければいけません。
当然低価格化は収益を圧迫しますし、様々なサロンやクリニックが広告の希望を出すと、広告費が高騰するだけでなく、広告のパフォーマンス・効果も悪化してしまうはずです。
③短期目線の経営によるキャッシュフローの圧迫
脱毛サロン/クリニックのリスクの3つ目は「短期目線の経営によりキャッシュフローを圧迫してしまうこと」です。
解説した通り、脱毛サロン・クリニックは黒字化まで時間がかかるため中長期的な経営が必要です。お客さんが来てくれているからと言ってキャッシュをすぐに回収できるわけではなく、すぐに利益が出るわけでもありません。
しかし調子が良く見えると成功を急いでしまうのが人間の性です。
「もっと広告費を掛ければもっとお客さんが来てくれるのではないか」
「店舗を出店すればさらに規模拡大できるのではないか」
「ライバルが出てくる前にもっと投資をして絶対的なポジションを築くべきではないか」
こうした悪魔の囁きに負けてしまい、広告費の増加や急速な出店など規模拡大へと向かってしまいます。そしてそのための追加費用が短期的に必要になるものの、上手くいかずに収益やキャッシュを回収できず債務超過に陥ってしまうのです。これは脱毛サロンやクリニックだけでなく、あらゆるビジネスに共通する典型的な失敗パターンです。
そしてこうした誘惑はうまく行っている時に来るからこそ冷静な判断ができなくなってしまいます。「これだけお客さんが来ているのだから、広告費や店舗数を増やせばもっとうまくいくだろう」と考えてしまいがちなのです。
そのため私は、脱毛サロンやクリニックはきらびやかに見えますが、質実剛健な経営者の方が成功すると考えています。
脱毛ラボの破産/倒産とその原因
こうしたリスクや危険性から倒産に至ってしまった脱毛サロン・クリニックはいくつかありますが、そのうち代表的なものが2022年8月26日の「脱毛ラボ」の倒産です。
脱毛ラボとは
「脱毛ラボ」は、全国に47店舗を展開していた女性専用の全身脱毛サロンです。
藤田ニコルさん、加賀美セイラさん、道端アンジェリカさんなど著名なタレントを立て続けにイメージキャラクターに起用するなど、積極的な広告プロモーションで規模を拡大していました。一時期は日本だけでなく、香港・シンガポール・タイにも進出し、全世界で84店舗を展開していたのです。
脱毛ラボの運営会社
脱毛ラボの運営会社は株式会社セドナエンタープライズでした。
日本テレビに入社後、フリーの放送作家として活動していた藤澤学氏によって2010年6月に設立されます。その後2017年に債務超過を迎えると「ドクターシーラボ」などを手掛ける株式会社シーズ・ホールディングスに買収されて子会社となります。買収に合わせて社長も藤澤学氏から、ドクターシーラボで取締役を勤めていた小杉裕之氏へ交代したようです。
年 | 沿革 |
---|---|
2010年 | ・日本テレビ出身の藤澤学氏によって、2010年6月に株式会社セドナエンタープライズが創業。 ・全身脱毛サロン「脱毛ラボ」に加え、家庭用脱毛器や化粧品などの販売を手掛ける。 |
2016年 | ・藤田ニコルさん、加賀美セイラさんをイメージキャラクターに起用。 |
2017年 | ・藤田ニコルさん、道端アンジェリカさんをイメージキャラクターに起用。 ・2017年6月期は75億5,500万円の売上を上げるものの、28億1,600億円の債務超過に。 売却① ・2017年11月、株式会社シーズ・ホールディングスに買収され、完全子会社化。 ・2017年12月、シーズ・ラボ取締役だった小杉裕之氏が社長に就任。 |
2020年 | ・新型コロナウイルスの影響で脱毛サロン事業が低迷、EC事業に進出。 |
2021年 | ・2021年12月期の売上は56億円にまで落ち込む。 売却② ・中国中信集団公司のPEが全株式を取得。 |
2022年 | ・2022年3月15日に消費者庁から景品表示法違反で措置命令を受ける。 破産 ・2022年8月26日に事業停止、破産申請。 |
上の表の通り、2回の売却を経て破産に至っているということがわかります。後述しますがこうして売却が行われることは脱毛サロンによって非常に悪いシグナルです。売却が行われた後に破産に至った脱毛サロンは他にも多く存在します。
脱毛ラボの社長:藤澤学氏(2010年〜2017年)
脱毛ラボを運営していた株式会社セドナエンタープライズの創業者、藤澤学氏の経歴は以下のとおりです。
テレビ局出身で美容サロン経営とは異色の経歴に見えます。日本テレビ時代に女性むけの番組を作った経験から女性目線を学び、そのノウハウを活かして女性専用脱毛サロン・脱毛ラボの事業を立ち上げたようです。
年 | 経歴 |
---|---|
2003年 | ・日本テレビエンタープレイズ入社 |
2006年 | ・フリーの放送作家として活動開始 |
2010年 | ・株式会社セドナエンタープライズ創業 |
2012年 | ・シンガポール法人セドナシンガポールインターナショナルを設立しシンガポールへ進出 |
2013年 | ・タイ法人セドナタイインターナショナルを設立しタイへ進出 |
2014年 | ・香港法人セドナ香港エンタープライズを設立し香港へ進出 |
2017年 | ・買収に伴い、小杉裕之氏に社長交代。藤澤氏はCOOに就任 |
脱毛ラボの社長:小杉裕之氏(2017年〜2022年)
そして2017年に株式会社セドナエンタープライズの社長に就任した、小杉裕之氏の経歴は以下のとおりです。
元々会計事務所出身で、その後ドクターシーラボで経営経験を積んだ後、買収によって脱毛ラボを運営する株式会社セドナエンタープライズの社長に就任していました。
年 | 沿革 |
---|---|
1969年 | ・誕生 |
1995年 | ・三村税務会計事務所入所 |
2002年 | ・株式会社ドクターシーラボ入社 |
2007年 | ・株式会社シーインベストメント(現株式会社シーラボ・カスタマー・マーケティング)取締役 |
2015年 | ・株式会社ドクターシーラボ取締役就任 |
2016年 | ・株式会社シーズ・ラボ取締役就任 |
2017年 | ・株式会社セドナエンタープライズ代表取締役社長就任 |
2022年 | ・社長を務める株式会社セドナエンタープライズが破産申請 |
脱毛ラボの破産・倒産の経緯
そんな脱毛ラボの倒産騒動については、事業譲渡などビジネス的な観点が深く関わっています。わかりやすく図解するとともに、年表でまとめてみたので、読み物を読む感覚でご覧いただけたらと思っています。
2010年6月に設立。全身革命脱毛サロンである「脱毛ラボ」を主力事業として、家庭用脱毛器、化粧品等の販売も手掛けていた。「脱毛ラボ」は「連射脱毛マシンの導入で施術時間が従来の半分」「最短2週間に1回通える」などと、ライバル店と比べて予約が取れやすいことを特徴とし、2017年6月期には約75億5500万円の売上をあげたが、有名女性タレントをイメージキャラクターに起用してWEBマーケティングにも注力するなど広告費が嵩んだ結果、2017年6月期には約28億1600万円の債務超過に転落した。
業績悪化に追い打ちをかけるかのように、新型コロナウイルスの影響により新規契約者数が伸び悩むと同時に売上も低下。経営の立て直しを図るべくEC事業に進出して「脱毛ラボ ホームエディション」の名称で家庭用光脱毛美容器などを販売していたが、2022年3月15日に消費者庁から景品表示法違反で措置命令を受けるなど、セドナエンタープライズの信用が失墜。2021年12月期の売上も約56億円にまで落ち込んだ。ドクターシーラボが保有していた株式も、2021年に他社へ売却された。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%89%E3%83%8A%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BA
株式会社セドナエンタープライズの事業としてスタート
それではまずは脱毛ラボの誕生から見ていきましょう。2010年6月24日、日本テレビを退社後、フリーの放送作家として活動していた藤澤学氏によって、株式会社セドナエンタープライズが設立されます。
女性向けの番組づくりをしていた藤澤氏の経験から、女性専用全身脱毛サロン「脱毛ラボ」をオープンするのです。
海外進出
脱毛ラボの事業は順調に成長し、2012年にはシンガポールに、2013年にはタイに、そして2014年には香港に現地法人を設立し、海外展開を遂げます。
創業からわずか4年で500倍の成長を遂げ、その規模は脱毛業界2位、エステ業界5位、世界84店舗に至ります。ここまではあまりにも順調な事業成長のように思えますが一体何があったのでしょうか?
有名女性タレントをイメージキャラクターに起用
転機となったのは2016年のこと、人気モデルの藤田ニコルさんと加賀美セイラさんをイメージキャラクターに起用し、新しいCMシリーズを展開するのです。
さらに2017年には藤田ニコルさん・道端アンジェリカさんをイメージキャラクターに起用します。
2016年には、競合となる「キレイモ」はぺこ&りゅうちぇるさんを、「ミュゼ」は池田エライザさんをと、脱毛サロンが次々と有名タレントを起用していました。そしてこれらの脱毛サロンは全て事業売却に追い込まれることとなります。
後述しますが、私はこうした有名タレント起用という誘惑やマス広告への投資が、脱毛サロンの破産の引き金になっていると分析しています。
債務超過・買収
こうした派手なプロモーションの結果、2017年6月期には75億5,500万円の売上を上げることとなりました。しかし派手なプロモーションには当然費用が必要です。売上こそ上がっていたものの28億1,600億円の債務超過に陥ってしまったのです。
債務超過に陥ったセドナエンタープライズに手を差し伸べたのは、ドクターシーラボなどのコスメ事業を展開する株式会社シーズ・ホールディングスです。2017年11月に株式会社シーズ・ホールディングスが買収を行い、セドナエンタープライズは完全子会社化されます。そして12月にはシーズ・ラボ取締役の小杉裕之氏が社長に就任するのです。
小杉氏は会計事務所出身で、取締役などの経営経験も豊富ですが、社長交代後脱毛ラボはどうなったのでしょうか?
経営状態悪化・中国のPEにより買収
社長も交代し立て直しを図っていた脱毛ラボですが、2020年にはコロナウイルスが世界中で蔓延しました。その影響で、飲食店やジムなど店舗型のビジネスは軒並み窮地に追い込まれてましたが、店舗型の脱毛サロンを展開するキレイモも当然その影響を受けてしまいます。
家庭用脱毛器のEC事業に進出するなど脱毛サロン以外の新規事業に糸口を探していましたが、2021年12月期の売上は56億円まで落ち込んでしまいます。そして2021年6月には中国のPE(プライベート・エクイティ)中国中信集団公司が全株式を取得して買収されてしまったのです。
一般的にPEは、潰れかけの企業を買収後、リストラなどのコストカットで経営を再建、企業の価値を上げて売却するビジネスを営んでいます。そのため脱毛ラボはPEの元で経営再建が図られるはずだったのですが・・・。
景品表示法違反で措置命令、破産手続開始
なんと、新規参入した家庭用脱毛器のウェブサイト上での表記に有利誤認があり、2022年3月15日には消費者庁から景品表示法違反で措置命令を受けてしまいます。消費者庁のリリースを確認したところ、申込みやレビュー投稿によるプレゼントやポイント進呈が期間限定でないものの、期間限定と誤認して申し込みを助長するものであったことが違反の理由のようです。
これによって脱毛ラボの信頼や評判は失墜します。これがとどめとなり、セドナエンタープライズは2022年8月26日に事業を停止して東京地方裁判所へ破産を申請。破産手続きを開始します。負債総額は約60億円、債権者3万人のうち大半は脱毛ラボで脱毛を行なっていた一般会員の方々でした。
脱毛ラボが潰れた理由は?
脱毛ラボが倒産した理由は、多額の広告費と、新型コロナウイルスによる客の減少、景品表示法違反による信用低下です。
- 有名タレント起用に伴う多額の広告費
- 業界内競争の激化と市場環境の変化
- 景品表示法違反による信用低下
有名タレント起用に伴う多額の広告費
まず1つ目は「有名タレント起用に伴う多額の広告費」があったことです。
脱毛ラボは、2016年には藤田ニコルさんと加賀美セイラさん、2017年には藤田ニコルさんと道端アンジェリカさんといった著名なタレントをイメージキャラクターに起用し、積極的な広告活動を展開していました。これにより一時的にはブランド認知度の向上と新規顧客の獲得に成功しましたが、広告投資が先行するものの、実際の顧客獲得がそのペースに追いつかない状況が発生したと推察します。
具体的には、広告費用として投じた資金は短期間で消費される一方で、広告効果による収益回収が時間を要したため、キャッシュフローが悪化しました。この結果、2017年6月期には約28億1600万円の債務超過に陥る事態となりました。
さらに、脱毛業界全体で競争が激化する中、多くのサロンが同様に有名タレントを起用して広告投資を行うようになりました。例えば、2016年には「キレイモ」がぺこ&りゅうちぇるさんを、「ミュゼ」が池田エライザさんを起用するなど、競合他社も積極的な広告戦略を展開しました。このような状況下では、広告代理店から「競合は有名タレントを起用していますよ」との助言を受けたはず、多くの脱毛サロンがタレント起用による広告投資を続けざるを得なくなりました。その結果、広告費用が市場全体で急増し、各サロンは広告投資を止めることができず、さらなる費用増加を余儀なくされました。
この持続不可能な広告投資の競争により、脱毛ラボは広告費の増大に対応するために追加の借入や無理な拡大戦略を推進しましたが、これが逆に資金繰りを悪化させ、最終的には債務超過に陥る原因となりました。競争他社も同様に広告費を増大させ続ける中で、脱毛ラボの経営基盤はますます脆弱化し、結果として破綻に至ったのです。脱毛ラボの倒産は、広告投資が先行し顧客獲得がそれに追いつかない場合や、競合他社との広告費競争が激化することで経営が圧迫されるリスクを象徴する事例となりました。
タレント起用などの広告投資は顧客獲得が追いつかなければ逆効果、イメージに左右されず判断すべし
業界内競争の激化と市場環境の変化
2つ目は「業界内競争の激化と市場環境の変化」です。
近年、美容業界全体の注目度の高まりとともに、脱毛サロンへの新規参入が増加しました。これにより、各サロン間での価格競争が激化し、利益率の低下を招きました。特に、脱毛サービスは各社のサービスに大きな差がつきにくいため、価格で勝負することになり、新規顧客の獲得が困難になると売上が下がり、サロン経営が悪化するという悪循環に陥ったと考えられます。
さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの人々が外出を控えるようになり、対面サービスを提供する店舗は集客が著しく減少しました。その結果、固定費や従業員の給与の支払いが継続する中で、収益が大幅に減少し、経営が厳しい状態に陥りました。またセルフエステや家庭用脱毛器の性能向上など、脱毛方法が多様化しているため、顧客の選択肢が広がり、従来のサロン型サービスの需要も減少したと考えられます。
これらの要因が重なり、脱毛ラボの経営はさらに厳しいものとなりました。競争の激化、顧客ニーズの変化、そして外部環境の変動が、同社の経営基盤を揺るがす結果となったのです。
かつて藤田ニコルさんのCMのイメージが残っている方は「あの脱毛ラボ!」と信頼してしまったかもしれませんが、コロナや競合参入を経て状況は大きく変わっていました。過去のイメージや思い込みを捨てて、最新の情報をキャッチアップして現在の状況をしっかり確認するようにしなければいけません。
参入障壁が低い市場でビジネスを続けるのは容易ではない、最新の情報にキャッチアップするべし
景品表示法違反による信用低下
そして3つ目は「景品表示法違反による信用低下があったこと」です。
コロナウイルスによる脱毛サロンの窮地を脱しようと家庭用脱毛器のEC事業に新規参入します。しかし、この家庭用脱毛器のウェブサイト上での表記に有利誤認があったため、2022年3月15日には消費者庁から景品表示法違反で措置命令を受けてしまうのです。この措置命令による信頼の失墜は脱毛ラボにとどめを刺したと考えられます。
私の正直な意見として、脱毛サロンやクリニックの倒産/破綻のシグナルは掴みにくいことが多い中、脱毛ラボのこの景品表示法違反はあからさまに分かりやすかったと思います。当然このようなネガティブなニュースがあった場合は、絶対にそうしたサロンやクリニックは避けるようにしましょう。
会計事務所出身で数字に強く、経営経験も豊富な小杉社長であっても脱毛ラボを再建することはできなかったのです。
法律・法令違反などあからさまなネガティブニュースがあるサロン/クリニックは必ず避ける
脱毛ラボの倒産・破産で返金はされた?
脱毛ラボの倒産後、お客さんが支払った料金は返金されたのでしょうか?破産手続き開始時、セドナエンタープライズは「未消化分の施術代の返還請求権については、直ちに返還することはできない」と発表しています。
一般的に会社が倒産して破産手続を行うと、最終的に会社の債務は免除されることになります。そして脱毛ラボの負債は一般消費者を中心とした債権者約3万人に対して約60億円のため、恐らく返還されてはいないでしょう。(60億円を3万人で割ると20万円になるので、脱毛料金として納得度が高いです)
通っている脱毛サロンが倒産したときに返金ができるか、支払い停止ができるかなどの対応についてはこちらの記事で解説しているので、脱毛を検討している方はぜひみていただけたらと思っています。
倒産の危険がある脱毛サロン・クリニックは絶対に選んではいけない!
このように、万が一通っている脱毛サロンが潰れる・破産する・倒産するようなことがあった場合には、返金もされず、サービスも受けられないことが一般的です。
過去にはエタラビや脱毛ラボが倒産した際には、弁護士を通じて集団訴訟を検討する方もいたようですが、そもそもその手間暇は果てしなく、結局は泣き寝入りになってしまうことが多いはずです。
そのため、私は脱毛を検討している方には「倒産や破産のリスクがないサロンやクリニックを選ぶこと」を他のどんなことよりも大切にしてほしいと考えています。これは実際に世の中で起こった事実なのです。
【筆者おすすめ】最も信頼できるSBCメディカルグループとは?
SBCメディカルグループは、2023年にゴリラクリニックを買収した名実ともに国内最大規模の美容医療法人です。そしてグループ各クリニックの中でも、SBCメディカルグループの本体・湘南美容クリニックは業界最大級の規模を誇ります。
- 全国120院以上を展開する大手グループ
- 年間来院数は500万人超(国内最大規模)
- 多角的な事業展開(美容医療のほか、AGA治療・歯科・婦人科など)
- 大手ゆえに資金力があり、倒産リスクが低い
実際、2024年末のアリシアクリニック破産のように、中堅の脱毛クリニックでも経営が立ち行かなくなるケースはあり得ます。一方、巨大資本を背景に全国展開しているクリニックは、仮に一部院が赤字になってもグループ全体でリスクを吸収できる体制が整っていることが多いです。
「絶対に潰れない」クリニックは存在しないものの、SBCメディカルグループは業界内でもトップクラスの経営規模を誇るため、経営破綻リスクをより小さくしたい方におすすめです。
まとめ
脱毛サロン・脱毛ラボの倒産について、その理由や原因を説明させていただきました。
こうしてビジネス的な側面から見てみると、「小規模の脱毛サロンは選ばない方が良い」など新しい側面が見えてくるのではないでしょうか。他のポイントも含めて脱毛を検討している方に向けた選び方や基準はこちらの記事で解説しているので、ぜひご覧ください!