私は生まれてこの方、一度も歯科矯正をすることはありませんでした。
子供の頃は歯並びを気に留めることもなく、そして気になっていたとしてもとても歯科矯正をする家庭の経済力もありませんでした。そして大人になって歯並びが気になっても、100万円ほどもするワイヤー矯正には手が出ていませんでした。
そんな私は2021年、アラサーにして初めてマウスピースを用いた歯科矯正にチャレンジすることとなります。
歯科矯正を一度もしたことがなかった私がなぜマウスピース歯科矯正を始めたのか、その理由を紹介したいと思います。
この記事では、歯科矯正を一度もしたことがない私がなぜマウスピースで歯科矯正を始めたのか、その理由を紹介したいと思います。
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アラサーでマウスピース矯正を始めた5つの理由
それでは早速、歯科矯正を一度もしたことがなかった私が、アラサーになってマウスピースで歯科矯正を始めた理由について説明したいと思います。主に以下の5つが理由となります。
- もともと歯並びが気になっていた
- ワイヤー矯正にはデメリットを感じていた
- マウスピース矯正には技術革新が起こることを予測していた
- マウスピース矯正で上場するスタートアップが海外で実際に誕生していた
- マウスピース矯正のスタートアップが日本でも多く出てきていた
職業柄、技術革新やスタートアップの存在が理由に挙げられているところはなかなか特徴的だと思っています(笑)。実際の体験も含めて1つずつ解説していきたいと思います。
もともと歯並びが気になっていた
アラサーでマウスピース矯正を始めた1つ目の理由は、もともと歯並びが気になっていたことです。
私は幼少期に一度も歯科矯正を行ったことがなく、歯並びはひどく悪いわけではないですが決して悪いものではありませんでした。とはいえ特に気になることもなかったのですが、大人になって周りで歯科矯正をしている友達やホワイトニングをしている知人が増えてくると、歯並びや歯のケアは顔や髪型と同様に気にかけるべきものだとようやく知ったのです。
特に海外では日本以上に歯並びや歯の白さを気にかける人が非常に多いです。海外に留学したり、外国の方と仕事をしたりするようになって、気にする機会はどんどん多くなっていきました。
なんでもそうですが、一度意識してしまうと決して頭から離れることはありません。それからというものの人前で笑顔を見せたり口を開いたりすることになんとなく気後れしてしまうようになりました。幼少期は歯並びや歯科矯正を気にする人が少ないコミュニティで育ったからこそ、大人になってそうしたコミュニティに入っての気後れはより強くなってしまったのです。
ワイヤー矯正にはデメリットを感じていた
アラサーでマウスピース矯正を始めた2つ目の理由は、歯並びが気になっていたもののワイヤー矯正に以下のようなデメリットを感じていたことです。
- 値段が高い
- 見た目が悪い
- 期間が長い
1つずつ説明していきたいと思います。
価格が高い
ワイヤー矯正に感じていたデメリットの1つ目は、値段が非常に高いことです。
ワイヤー矯正では歯にワイヤーを取り付けて1〜2年ほどの期間をかけて矯正を行いますが、その費用は一般的に100万円程度です。子供の頃にワイヤー矯正をする場合は家庭の経済力に大きく依存し、また大人になっても気軽に出せる金額ではないと思います。
歯並びをより良くしたいという気持ちはありつつも、大きく崩れているわけでは決してないので、100万円を払うなら別のことに当てたいという気持ちは強くありました。
見た目が悪い
ワイヤー矯正に感じていたデメリットの1つ目は、見た目が悪いことです。
みなさんご存知の通り、歯にワイヤーを装着すると当然目立ってしまいます。それに対して相手が不快感を感じることは少ないとは思うのですが、やはりつけている当人としてはどうしても気になってしまうと思います。
私はメガネをかけていたときに自分に自信を持てなかった経験もあったので、歯科矯正でも同じくワイヤーをつけている自分を意識してしまって気になるのだろうなという気持ちがありました。
期間が長い
ワイヤー矯正に感じていたデメリットの3つ目は、期間が長いことです。
ワイヤー矯正は一般的に1〜2年の時間が必要で、その間に10〜15回ほど通院を行います。つまり期間が長いことに加えて、その間に歯医者に通い続ける手間も発生します。
20代〜30代では当然旅行など様々な予定も発生しますし、引っ越しや転勤なども起こり得ます。そのため、長期間通院を続けるワイヤー矯正はそもそもアラサーの自分には合っていないのだろうなと判断しました。
ワイヤー矯正はできることなら子供の頃に受けるのが良い
以上のように、大人になってからワイヤー矯正をするには見た目や期間などが課題になりやすいと感じています。
これらの問題は子供の頃に受ければ解決できると思うので、私の家庭では無理でしたが、将来子供ができたときには、もし希望するならワイヤー矯正を小さい頃に受けさせられるようにありたいなと思っています。
マウスピース矯正には技術革新が起こることを予測していた
アラサーでマウスピース矯正を始めた3つ目の理由は、ワイヤー矯正とは別のもう1つの選択肢・マウスピース矯正には近いうちに技術革新が起こり、価格の低下などが起こることは予測がついていたからです。
マウスピース矯正市場は独占市場
マウスピース矯正市場は、Align Technologyが展開するInvisalign(インビザライン)のほぼ独占市場でした。
Align Technologyは、歯型のスキャン装置、治療計画立案ソフトウェア、マウスピース設計ソフトウェア、マウスピース製造といった、マウスピース矯正にかかる一連の流れをワンストップで歯科医に対して提供しています。
- 歯型のスキャン:スキャン装置をAlign Technologyが提供
- 治療計画立案:専用ソフトウェアをAlign Technologyが提供
- マウスピース設計:専用ソフトウェアAlign Technologyが提供
- マウスピース製造:Align Technologyが製造
- マウスピースを用いた処方・定期治療:歯科医が実施
そして2017年まではマウスピース矯正に関する特許を保持して市場の独占を続け、特許が切れた後も24.1億ドルの市場規模に対して21億ドルの売り上げをあげ、なんと85%以上ものマーケットシェアを実現しています(2020年)。日本の歯科医でもほぼ間違いなくインビザラインを用いた歯科矯正を提供しているはずです。
逆に言えば、上述したマウスピース矯正のプロセスを置き換えるテクノロジーが生まれれば、この独占市場を崩し得るのではないかと考えていました。
独占市場のマウスピース矯正を変え得るテクノロジー
そして、以下のようなテクノロジーがこうした独占市場のマウスピース矯正を変え得ると私は考えていました。
- 3Dプリンター
- IoT・オンライン診療
順番に解説していきたいと思います。
3Dプリンター
マウスピース矯正を変え得るテクノロジーとして、私は3Dプリンターに注目していました。3Dプリンターとは、3DCGなどのデジタル3Dモデルを元にして、さまざまな物体を作り出すことができる装置のことです。
かつてものづくりには、緻密な設計書と実際に物を作る工場の製造ラインが必要でした。これは車など同じ型のものの大量製造には向いていますが、マウスピースのように1つ1つ型が違うものをオンデマンドで作ることには当然向いていません。
しかし、2010年ごろからは一般的な3DCADや3DCGのデータから成形ができるような3Dプリンターも登場し、このようなオンデマンド型のものづくりを手軽に、そして安価なものへと変えて行っています。
マウスピース矯正で必須となる、1人1人の歯に合わせたオンデマンドのマウスピース、その製造に関わる根本のテクノロジーに変化が起きつつあると考えていました。
IoT・オンライン診療
そして、IoT、それが実現するオンライン診療もマウスピース矯正を変え得るテクノロジーです。
IoTは、Internet of Things、モノのインターネットとも呼ばれますが、車や機械などあらゆるものがインターネットに接続されて、その利用データなどがリアルタイムでわかるようになり、そのデータに基づいた改善が実現できるというものです。
マウスピース矯正では、1人1人の歯型に合わせたマウスピースを作るために歯型の計測が必要で、歯科医の方が矯正の経過に合わせて調整を行う必要がありました。しかし、IoTによってインターネットに繋がった歯型スキャンデバイスが登場すれば、来院しなくても歯型を計測できますし、それを用いて矯正の経過を捉えることも可能です。
さらにはZoomやLINEなどを用いて患者のオンライン診断もすることも可能なので、物理的にはマウスピース矯正に関わる過程は全てオンラインで完結し得ると考えていました。
マウスピース矯正で上場するスタートアップが海外で実際に誕生していた
アラサーでマウスピース矯正を始めた4つ目の理由として、上述したようなテクノロジーを利用してマウスピース矯正市場に切り込むスタートアップが海外で実際に誕生しており、中には上場を遂げるものも出てきていたことです。
ある業界や領域において、1つだけではなく幾つもスタートアップが誕生していることは、その領域の技術革新が実際に起こっている明確なシグナルです。そうでなければ多くのプレイヤーが参入しないからです。兼ねてから気になっていた歯科矯正でのイノベーションの到来を感じ、新しいもの好きな自分としては興味を持たずにはいられませんでした。
海外のマウスピース矯正の代表的なスタートアップ企業をいくつか紹介したいと思います。
Smile Direct Club(アメリカ)
Smile Direct Clubは、歯科矯正業回のいわゆるD2C・Direct to Consumerスタートアップとして2019年にはナスダックにも上場しています。
通常、1〜2年の間で10〜15回程度の通院が必要となる歯科矯正は、費用も手間もハードルが高いのが実情です。加えて歯科医業界と密接に関わった規制産業のため、現状の産業構造を壊してしまうようなイノベーションが起こりにくくなっています。
そんな歯科矯正業界に革新をもたらしたSmile Direct Clubは、歯科矯正の過程で1回も通院する必要ありません。
まずは届いた専用デバイスを用いて自分の歯型を計測、その歯型をSmile Direct Clubに送り返すと、歯型に合わせて作られた専用の矯正器具・アライナーが届くので、それを装着することで矯正が進んでゆくというものです。
- 歯型のスキャン:届いた専用デバイスで自身で計測
- 治療計画立案:オンラインで実施
- マウスピース設計:デバイスの計測データを用いてSmile Direct Clubが実施
- マウスピース製造:デバイスの計測データを用いてSmile Direct Clubが製造
- マウスピースを用いた処方・定期治療:マウスピースを用いてオンラインで実施
これによって、通院の手間がなくなり、歯科医が介在しなくて良いので価格も下がり、歯科医がいないところでもサービスを受けられるので場所の制約がなくなるという大きなメリットを受けられるのです。
Zenyum(シンガポール・日本含むアジア全域)
Zenyumは、ドイツ人のジュリアン・アルトペCEOがシンガポールで創業した、マウスピース歯科矯正以外にも電動歯ブラシやフロス、歯磨き粉など、広く口腔ケア領域で事業を営んでいるスタートアップ企業です。
シンガポールや香港、台湾、ベトナム、タイ、マレーシアなどアジア圏で事業を展開しており、2021年11月には「Zenyum Japan」として日本にも進出しています。
2021年の6月には世界のトップティアVCであるSequoia Capitalなどから総額5600万ドルの資金調達を実施しています。
Toolink(中国)
中国にもTootlink Technologyというマウスピース歯科矯正のスタートアップ企業が存在します。
2021年、2022年には世界のトップティアVCであるSequoia Capital Chinaから資金調達を実施しています。
マウスピース矯正のスタートアップが日本でも多く出てきていた
アラサーでマウスピース矯正を始めた5つ目の理由は、日本でもマウスピース矯正をテーマにしたスタートアップが誕生していたことです。
「タイムマシンモデル」と言われるように、アメリカでの最新の起業テーマが数年遅れて日本にも持ち込まれることは一般的ですが、マウスピース矯正もその例外ではなく、国内のスタートアップも数多く誕生しているのです。
余談ですが、この「数が多い」というのはポイントだと思っています。確かな技術や再現性があるからこそ、どこか1社だけでなく多くの会社が参入しているので、安心感を裏付ける判断ポイントとして用いることが多いです。
それでは、国内のマウスピース矯正の代表的なスタートアップ企業をいくつか紹介したいと思います。
Oh my teeth
1つ目は株式会社Oh my teeth、マウスピース歯科矯正サービス「Oh my teeth」を運営する日本のスタートアップ企業です。ワークスアプリケーションズでシステム開発等に従事していた西野誠さんがCEOとして2019年に共同創業しています。
歯科矯正D2Cサービス、2022年9月期の売上は前期比4倍と大きく成長している、裏を返せばそれだけ多くの方がOh my teethのマウスピース歯科矯正サービスを利用しているということです。
サービスの流れは基本的にはSmile Direct Clubと同じですが、最初に歯型の3Dスキャンを取る際に専用クリニックへ来院し、その後の矯正は3Dスキャンから作成した矯正器具を用いて通院せずに実施する形となっています。
- 歯型のスキャン:専用クリニックへ来院してスキャンを実施
- 治療計画立案:オンラインで実施
- マウスピース設計:デバイスの計測データを用いてSmile Direct Clubが実施
- マウスピース製造:デバイスの計測データを用いてSmile Direct Clubが製造
- マウスピースを用いた処方・定期治療:マウスピースを用いてオンラインで実施
消費者心理として、最初から最後まで全てがオンラインで完結してしまうことによる不安もあるとは思うので、最初の1回来院してもらうことはむしろ安心感を得られるメリットだと思っています。そしてその後は通院はなくとも、LINEやZoomを用いて診察や相談を受けられるのも大きなポイントです。
DRIPS
2つ目は株式会社DRIPS、はマウスピース歯科矯正サービス「hanaravi」を運営する日本のスタートアップ企業です。大分大学医学部を卒業した医師でもある各務康貴さんがCEOとして2019年に創業しています。
サービスの流れは基本的にはOh my teethと同じです。提携クリニックまたは自宅で歯型を計測し、その後の矯正は3Dスキャンから作成した矯正器具を用いて通院せずに実施する形となっています。
- 歯型のスキャン:提携クリニックへ来院、または専用デバイスを用いて自身でスキャンを実施
- 治療計画立案:オンラインで実施
- マウスピース設計:デバイスの計測データを用いてSmile Direct Clubが実施
- マウスピース製造:デバイスの計測データを用いてSmile Direct Clubが製造
- マウスピースを用いた処方・定期治療:マウスピースを用いてオンラインで実施
矯正の流れでのOh my teethとの違いは、最初に歯型を計測するときに、Oh my teethは専用クリニックへの来院が必要で、hanaraviは提携クリニックへの来院または自宅での計測どちらでも可能というところのみです。
2022年の3月には、ニッセイキャピタルやニフコなどから1.2億円の資金調達も実施しています。
まとめ
以上、歯科矯正を一度もしたことがない私がマウスピースで歯科矯正を始めた理由についてご説明させていただきました。
「アラサーになって今さら歯科矯正なんて・・・」と思う方も多いかもしれません。しかし、一生物の歯についてもし気になっていたりコンプレックスを抱えたりしている方がいたら、ぜひ安価なマウスピース矯正を検討するのも1つの手だと思います。
参考になれば幸いです!