脱毛サロンの破産・倒産が多い理由を徹底解説

東大を卒業後、戦略コンサル・VCで勤務していた「チルbot」です!

脱毛は老若男女問わず急速に広まっており、脱毛サロンやクリニックを検討している方も多いと思います。

しかし実は脱毛サロンやクリニックは倒産して潰れる、事業が上手くいかず撤退・閉店するケースが非常に多く、そうした場合は返金や脱毛サービスが受けられないという最悪のリスクも発生してしまうのです。

実は、国内最大の169店舗を展開する(2022年3月末時点)美容脱毛サロン・ミュゼプラチナムもかつて倒産騒動や経営難を報じられたことがあったのです。ビジネスの目から見てわかるミュゼを取り巻く暗雲とは一体何なのでしょうか?非常に示唆に溢れており、脱毛を考えている方であれば絶対に知っておいて損はないと断言します。

ミュゼプラチナムの倒産騒動・経営難の真相、ミュゼは本当に信頼できるのかどうか、脱毛サロンのビジネスモデルや危険性なども含めて徹底解説したいと思います。

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脱毛サロン・クリニックが潰れる理由

脱毛サロン・クリニックが潰れる理由
  1. 広告費を中心とした費用が先出
  2. 売上は中長期的に回収
  3. 利益が出るまで時間がかかる

脱毛を含むエステティック業の倒産や閉店は多い

実は脱毛サロンやクリニックの倒産や、倒産まで至らずとも閉店・閉業は非常に多いです。

脱毛クリニック・サロンの倒産は増えている

2019年に東京商工リサーチが実施した「2019年エステティック業倒産動向調査」によると、脱毛サロン・クリニックを含んだのエステティック業の倒産は、2019年に73件で過去最多となったそうです。

負債総額は29億2,200万円でしたが、その内訳としては負債1億円以上の大規模なもの5件、そして負債1億円未満の比較的小規模なものが68件で全体の9割以上となっており、小規模な個人サロンの倒産が進んでいることがわかります。

エステティックサロンは参入障壁が低く、個人経営の個人サロンが増えていますが、施術内容の差別化ができないため顧客獲得が難しく、顧客獲得に費やす広告費などがかさんで倒産してしまうパターンが増えているのです。

脱毛クリニック・サロンの撤退・閉店も増えている

そして倒産まで至らずとも、事業がうまくいかずに撤退・閉店してしまうケースも増えています。

特に最近では、元NEWSの手越祐也さんがプロデュースする「TEGOSHI BEAUTY SALON」や俳優の新田真剣佑さんがプロデュースする「AmSALON」など、有名人・芸能人の人気や知名度を武器にした脱毛サロンやクリニックが増えていますが、軒並み撤退に追い込まれているのです。

脱毛サロン・クリニックのビジネスモデルの特徴

なぜ脱毛サロンやクリニックの倒産や撤退が相次いでいるのでしょうか?

まずはその前提として、脱毛サロン・クリニックのビジネスモデルの特徴を説明したいと思います。

脱毛サロン・クリニックのビジネスモデルの特徴
  1. 広告費を中心とした費用が先出する
  2. キャッシュは中長期的に回収する
  3. 黒字化まで時間がかかり中長期的な経営が必要

それでは順番に解説していきたいと思います。

広告費を中心とした費用が先出する

脱毛サロン・クリニックのビジネスモデルの特徴の1つ目は、「広告費を中心とした費用が先出する」というものです。

脱毛サロン・クリニックの運営に必要な費用としては主に以下のようなものがありますが、このうち大きな割合を占め、かつ重要度が高いものが「広告費」です。

脱毛サロン・クリニックの主な費用(固定費)
  1. 広告費
  2. 店舗賃料
  3. リース料(脱毛機器をリースしている場合)、または減価償却費(脱毛機器を購入した場合)
  4. 人件費

脱毛サロン・クリニックを開業しただけでは当然お客さんは来てくれないので、広告やプロモーション、キャンペーンで認知を広げ、来客を促進する必要があります。こうした活動全般にかかる費用が広告費です。

そして、広告費を用いた活動の結果、お客さんが来店・契約をしてくれないと収益は発生しません。そのため収益を得るよりも先に広告費や店舗賃料、リース料、人件費などの費用が必要となり、お客さんが来るまで永遠にその費用を支払続けなければいけなくなります。

キャッシュは中長期的に回収する

脱毛サロン・クリニックのビジネスモデルの特徴の2つ目は、「キャッシュ(現金)は中長期的に回収」というものです。

種類にもよりますが、脱毛には10万円以上の費用が必要となります。多くの人にとっては高額に感じられるでしょう。

光脱毛
(美容脱毛)
ニードル脱毛
(電気脱毛)
レーザー脱毛
処置光で毛根にダメージを与える針を刺し電流で一本ずつ処理レーザー光で毛根を破壊する
特徴2000年代に登場した
最も新しい脱毛方法。
近年でも新しい手法が登場。
150年近い歴史を持つ脱毛方法で、
ダンディハウス・メンズTBCなど
歴史あるクリニックが主流
1980年代に登場した
比較的新しい脱毛方法。
費用は高額でお試しはない
自己処理を減らすために
必要な通院数と費用
8〜10回
(8〜10万円)
5〜6回
(15〜20万円)
5〜6回
(7〜9万円)
ツルツルにするために
必要な通院数と費用
〜25回
(20-22万円)
〜15回
(25-35万円)
〜13回
(13-18万円)
脱毛の種類と費用の目安

そのため多くの脱毛サロン・クリニックは分割払いに対応しており、月々数千円から脱毛を受けられるプランも用意しています(4年間で48回分割払いものプランも多いです)。つまり脱毛サロン・クリニックは一度にまとまったお金を支払ってもらえる場合ばかりではなく、分割された金額を少しずつ回収していくような場合も多いということです。

例えば現金支払いのラーメン屋であれば、ラーメンを提供した瞬間に収益が発生して現金を回収することができますが、脱毛サロンの場合はゆっくり時間をかけて現金を回収しなければいけないのです(※ファクタリングサービスなどを使っている事業者も多いとは思いますが、いずれにせよキャッシュフローを圧迫することには変わりません)。

黒字化まで時間がかかり中長期的な経営が必要

脱毛サロン・クリニックのビジネスモデルの特徴の3つ目は、「黒字化まで時間がかかる」というものです。

上述したように、脱毛サロン・クリニックにはお客さんを呼ぶための費用が先に必要となり、その結果お客さんが脱毛サービスに契約してくれてもすぐに全額を回収できるわけではなく、現金を少しずつ回収していく形になります。

そのため、広告が成功してお客さんを呼び込めたからと言ってすぐにその利益が発生するわけではなく、中長期的に時間をかけて利益を回収していくようなモデルになるのです。結果として、中長期目線でのシミュレーションを組んで、売上や利益など目先の誘惑に負けずにコツコツと経営をしていく必要があると考えられます。

後述しますが、こうした中長期的な経営ができず、誘惑に負けて出店やプロモーションを急ぎ、キャッシュフローを圧迫してしまうことが脱毛サロン・クリニックの倒産の主な理由だと考えられます。

脱毛サロン・クリニックのリスク・危険性

脱毛サロン・クリニックのビジネスモデルの特徴を踏まえ、倒産や撤退に直結するその中に潜んだリスクや危険性を説明したいと思います。

脱毛サロン・クリニックのリスク・危険性
  1. 競争環境の激化
  2. 顧客の取り合いによる低価格競争、広告費の高騰
  3. 短期目線の経営によるキャッシュフローの圧迫

こちらも順番に解説していきたいと思います。

競争環境の激化

脱毛サロン・クリニックのリスクの1つ目は「競争環境が激化していること」です。

最近では、ローランドや手越祐也など有名人・芸能人が脱毛サロンのプロデュースを始めたりと、脱毛業界への新規参入が増えています。Youtubeなどで脱毛サロンの広告やキャンペーンを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

当然その結果成功するかは別問題なのですが、以下のような理由から脱毛業界は参入障壁が比較的低いのです。

 脱毛業界の新規参入のハードルが低い理由
  1. 在庫不要で低リスク
  2. 人材育成が容易
  3. 多数乱戦の業界構造
  4. 脱毛器具・機械の低価格化

そして参入障壁が低いということは、参入する事業者が増える、つまり競合・ライバルが増えやすいということです。

脱毛に対するニーズは増えているものの、当然脱毛サロンやクリニックの数が増えれば、そのニーズを抱えているお客さんの取り合いになります。脱毛業界は、競合が多いレッドオーシャンの厳しい競争環境になりつつあるのです。

顧客の取り合いによる低価格競争、広告費の高騰

脱毛サロン・クリニックのリスクの2つ目は「顧客の取り合いにより低価格競争や広告費の高騰が進んでいること」です。

脱毛業界の競争環境が激化しているということは伝えさせていただきましたが、そうした環境で脱毛サロンやクリニックはどうすれば良いのでしょうか?他よりも安くサービスを提供したり、大々的な広告やキャンペーンを実施して、自分達のサロンやクリニックに目をつけてもらうようにしなければいけません。

当然低価格化は収益を圧迫しますし、様々なサロンやクリニックが広告の希望を出すと、広告費が高騰するだけでなく、広告のパフォーマンス・効果も悪化してしまうはずです。

短期目線の経営によるキャッシュフローの圧迫

脱毛サロン・クリニックのリスクの3つ目は「短期目線の経営によりキャッシュフローを圧迫してしまうこと」です。

解説した通り、脱毛サロン・クリニックは黒字化まで時間がかかるため中長期的な経営が必要です。お客さんが来てくれているからと言ってキャッシュをすぐに回収できるわけではなく、すぐに利益が出るわけでもありません。

しかし調子が良く見えると成功を急いでしまうのが人間の性です。

「もっと広告費を掛ければもっとお客さんが来てくれるのではないか」

「店舗を出店すればさらに規模拡大できるのではないか」

「ライバルが出てくる前にもっと投資をして絶対的なポジションを築くべきではないか」

こうした悪魔の囁きに負けてしまい、広告費の増加や急速な出店など規模拡大へと向かってしまいます。そしてそのための追加費用が短期的に必要になるものの、上手くいかずに収益やキャッシュを回収できず債務超過に陥ってしまうのです。これは脱毛サロンやクリニックだけでなく、あらゆるビジネスに共通する典型的な失敗パターンです。

そしてこうした誘惑はうまく行っている時に来るからこそ冷静な判断ができなくなってしまいます。「これだけお客さんが来ているのだから、広告費や店舗数を増やせばもっとうまくいくだろう」と考えてしまいがちなのです。

そのため私は、脱毛サロンやクリニックはきらびやかに見えますが、質実剛健な経営者の方が成功すると考えています。

脱毛サロン・クリニックの破産・倒産例とその原因

こうしたリスクや危険性から破産・倒産に至ってしまった脱毛サロン・クリニックは数多く存在します。

具体的な例をいくつか紹介させてください。

エタラビ(エターナルラビリンス):2017年4月に破産

脱毛エステサロン「エタラビ(エターナルラビリンス)」を全国に100店舗展開していた株式会社グロワール・ブリエ東京は、2017年の4月5日に破産手続きを開始して倒産しています。会員数は9万人で、2014年9月期には約28億円もの売上高をあげていました。

エタラビが倒産した理由
  1. 広告宣伝費・固定費の増大
  2. 解約希望会員への返金拒否や誇大広告による業務停止命令
  3. 信用低下による解約急増

詳しくはこちらの記事で解説しています。

脱毛ラボ:2022年8月26日に倒産

脱毛エステサロン「脱毛ラボ」を全国に80店舗以上展開していたセドナエンタープライズは、2022年の8月26日に破産手続きを開始して倒産しています。2017年には75億円を超える売上をあげ、2021年の9月には藤田ニコルさんを起用したテレビCMも発表していましたが、1年後に倒産する形になりました。

脱毛ラボが倒産した理由
  1. 多額の広告費
  2. 新型コロナウイルスによる客の減少
  3. 景品表示法違反による信用低下

詳しくはこちらの記事で解説しています。

脱毛サロン・クリニックの閉店・撤退例とその原因

そして破産・倒産まで至らずとも閉店・撤退してしまった脱毛サロンやクリニックは数多く存在します。

具体的な例をいくつか紹介させてください。

TEGOSHI BEAUTY SALON:2022年5月に閉店・撤退

元NEWSの手越祐也さんがプロデュースする「TEGOSHI BEAUTY SALON」は2022年の5月に閉店・撤退しています。

2020年8月に4店舗から始まり、一時期は7店舗にまで拡大したTEGOSHI BEAUTY SALON、その閉店の理由は以下の通り分析しています。

TEGOSHI BEAUTY SALONが閉店・撤退した理由の分析
  1. 顧客を継続獲得できなかった
  2. スタッフや従業員の反発があった
  3. 経営における意思決定や責任が曖昧だった

詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

AmSALON:2022年5月に閉店・撤退

俳優の新田真剣佑さんがプロデュースする「AmSALON」も同じく、2022年の5月に閉店・撤退しています。

2021年3月に東京・池袋と福岡・天神の2店舗で始まったAmSALON、その閉店の理由は以下の通り分析しています。

AmSALONが閉店・撤退した理由の考察
  1. 初期の顧客獲得ができなかった
  2. 経営における意思決定や責任が曖昧だった

詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

破産・倒産が噂された脱毛サロン・クリニック

さらにはまだ破産・倒産が噂された脱毛サロンやクリニックも存在します。まだ事業継続して入るものの、個人的にはリスクを抱えていると見て間違いないと思っています。

具体的な例をいくつか紹介させてください。

ミュゼ

全国最大店舗数を誇る女性用脱毛サロン、ミュゼプラチナムは2015年に倒産騒動が起こり、2016年・2020年と2回も事業譲渡を経て今もなお脱毛サロン事業を続けています。

そんなミュゼの倒産騒動の理由は以下の通り分析しています。

そんなミュゼプラチナムの倒産騒動が起こった理由
  1. 急拡大の実態は爆弾を抱える自転車操業
  2. 経営者の露出増加は悪いシグナル
  3. 2回の事業譲渡から分かる黒字化の難しさ

詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

キレイモ

ぺこ&りゅうちぇるさん、渡辺直美さんらを起用した女性用全身脱毛専用サロン、キレイモは2022年に倒産騒動が起こり、2022年の9月には一部店舗の事業譲渡を経て今もなお脱毛サロン事業を続けています。

そんなキレイモの倒産騒動の理由は以下の通り分析しています。

キレイモの倒産騒動の理由
  1. 過度な広告という無理ある規模拡大のシグナルがあった
  2. 基本的には良いシグナルではない事業譲渡に至った

詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

脱毛サロン・クリニックが倒産・閉店が消費者に与える影響

サービスが受けられない・続けられない

先に支払った費用が返金されない

倒産の危険がある脱毛サロン・クリニックは絶対に選んではいけない!

このように、万が一通っている脱毛サロンが潰れる・破産する・倒産するようなことがあった場合には、返金もされず、サービスも受けられないことが一般的です。

実際にエタラビや脱毛ラボが倒産した際には、弁護士を通じて集団訴訟を検討する方もいたようですが、そもそもその手間暇は果てしなく、結局は泣き寝入りになってしまうことが多いはずです。

そのため、私は脱毛を検討している方には「倒産や破産のリスクがないサロンやクリニックを選ぶこと」を他のどんなことよりも大切にしてほしいと考えています。これは実際に世の中で起こった事実なのです。

まとめ

ミュゼプラチナムの破産騒動について、その理由や原因を説明させていただきました。

こうしてビジネス的な側面から見てみると、「事業譲渡を繰り返している脱毛サロンは選ばない方が良い」など新しい側面が見えてくるのではないでしょうか。他のポイントも含めて脱毛を検討している方に向けた選び方や基準はこちらの記事で解説しているので、ぜひご覧ください!

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