今や生活に欠かせないYouTubeやインスタグラムですが、その中で脱毛サロンの広告を見たことがある人は多いでしょう。
アニメ風の広告や女性スタッフが登場する広告は面白みがある一方で、「うざい」「過大広告だ」などの厳しい意見もSNS上では多く見られます。どうして脱毛サロンはこうしたYoutubeの広告を流しているのでしょうか?本当に過大広告なのでしょうか?
Youtubeの脱毛広告について、その内容を踏まえ、流している狙いや流れを私の意見も含めてご説明します。
Youtubeの脱毛広告の内容・流れ
Youtubeの脱毛広告には、主に漫画広告と、女性スタッフが登場する広告の2つが存在します。
それぞれについて順番に説明していきたいと思います。
Youtubeの脱毛広告①:漫画広告
Youtubeの脱毛広告の1つ目は「漫画広告」です。
皆さんもYoutubeで1回は見たことがあると思いますが、イラスト漫画風のアニメーション動画の広告です。「俺は〇〇・・・」という主人公の男性のナレーションと共に、広告には思えないような形で動画が始まります。
漫画広告の内容・流れ
脱毛サロンの漫画広告にはいくつもパターンがありますが、大体流れとしては以下のようなものです。
- 女友達や彼女といい雰囲気になる
- ヒゲなどの体毛が濃いことでチャンスを逃してしまう
- 友達からヒゲ脱毛を教えてもらう
- 脱毛サロンの説明を受ける
- 脱毛を行なってモテるようになる
脱毛サロンには関係なさそうなストーリーから始まっても、体毛が原因で女性に嫌われてしまい、脱毛サロンの説明が始まるという流れですね。何回も見ていると「また来たか・・・」と予想がついてしまう方も多いはずです。
Youtubeの脱毛広告②:女性スタッフが登場する広告
Youtubeの脱毛広告の2つ目は「女性スタッフが登場する広告」です。
可愛らしい脱毛サロンの女性スタッフが登場し、「助けてください、お尻脱毛したい男性が足りません」など何とも言えない強烈なパンチラインで脱毛サロンの宣伝を行います。漫画広告とは違い、縦型のリールでよく目にする気がします。
女性スタッフが登場する広告の内容・流れ
女性スタッフが登場する脱毛サロンの広告にはいくつもパターンがありますが、大体流れとしては以下のようなものです。
- 制服とマスクをつけた女性スタッフが登場
- 「おしり脱毛をしたい男性を探している」というキャッチーなキーワード
- 「募集中」「助けてください」「お願いします」というお願い
- 脱毛サロン・脱毛サービスの説明
可愛らしい女性スタッフが登場する広告は、ジムやヨガの広告でも増えているような気がします。私は正直YoutubeやInstagramはもう少し広告審査を厳しくするべきだと思いますが、一方でこうした広告も彼らにとっては売上になっており、広告を楽しんでいる人もいるであろうことが難しいところです。
Youtubeの脱毛広告を流す狙い・目的
それでは、なぜこうした脱毛広告をYoutubeやInstagramで流しているのでしょうか?
その狙いや目的について、漫画広告・女性スタッフが登場する広告それぞれについて説明していきます。
脱毛サロンの漫画広告の狙い・目的
脱毛サロンの漫画広告の狙い・目的としては、以下のようなものがあると思います。
- 広告に見えない体裁で広告視聴を促す
- 射倖心を煽って広告視聴を促す
- 制作費用が安い
広告に見えない体裁で広告視聴を促す
まず「広告に見えない体裁で広告視聴を促す」について、そもそも消費者にとって広告とは「できれば見たくないもの」です。そのためストレートに商品やサービスの訴求がされると、嫌気が差してスキップされてしまいます。
Youtubeでいうと、5秒なり15秒なりの強制視聴時間の後も継続視聴してもらうことが目的の1つになります。漫画広告はイラスト漫画風のアニメーション動画で、広告のように見えない体裁を取り、スキップを防止しようとしているのです。(やりすぎてもはや逆効果になっていると思いますが)
射倖心を煽って広告視聴を促す
そして「射倖心を煽って広告視聴を促す」について、5秒なり15秒の強制視聴期間以降も広告を見てもらうためには、その間に視聴者に気になる情報を届けることが重要です。その際に、可愛い女の子キャラクターを登場させ、男の主人公といい雰囲気にすることで、思わずページをめくりたくなる射倖心を煽っているものと考えられます)。
書いていてアホらしくなってしまいましたが笑、人間の欲求は太古の昔から変わらないので、結局はそうした根源的な欲求に訴えるのが効果が高いということなのでしょう。
制作費用が安い
最後に「制作費用が安い」について、実は脱毛サロンの典型的な失敗例として「広告費用をかけすぎて債務超過に陥る」というものがあります。実際に「エタラビ」「脱毛ラボ」「ミュゼ」などの脱毛サロンは、2016年ごろに有名タレントを起用したCMキャンペーンを立て続けに行い、これら全ての会社が経営難に追い込まれているのです。
こうした有名タレントの起用やテレビCMに比べ、Youtubeの漫画広告は制作費用が安いです。脚本家・イラストレーター・ナレーターなどをクラウドソーシングで雇えば数十万円で制作できてしまうはずです。過去の失敗から学び、制作費用が安く、かつ効率が良い広告手段を模索した結果なのでしょう。
女性スタッフが登場する脱毛広告の狙い・目的
女性スタッフが登場する脱毛サロンの広告の狙い・目的には、以下のようなものがあると思います。
- インパクトあるキーワードで注目させる
- 男性の射倖心を煽って広告視聴・来店を促す
- 制作費用が安い
インパクトあるキーワードで注目させる
まず「インパクトあるキーワードで注目を促す」について、広告では視聴者の注目を集め、記憶に残すことが重要です。
「お尻脱毛したい男性が足りません」のいうパンチラインはあまりにもアホらしく、あまりにもキャッチーです。実際にTwitterでも多くの方がお尻脱毛の広告を取り上げて話題になっています。
一見アホらしくも見えますが、キャッチーなキーワードで注目を集めて話題化するのは広告の常套手段なのです。
男性の射倖心を煽って広告視聴・来店を促す
そして「男性の射倖心を煽って広告視聴・来店を促す」について、広告の中では脱毛サロンのスタッフの女性が登場します。
可愛い女性スタッフを登場させて、「お尻脱毛」というキーワードを出すことで、女性スタッフに下半身の脱毛処理をしてもらえる期待を煽っているものと推察されます(書いていてアホらしくなりました笑)。
制作費用が安い
最後に「制作費用が安い」について、実は脱毛サロンの典型的な失敗例として「広告費用をかけすぎて債務超過に陥る」というものがあることは説明した通りです。
実際の女性スタッフかはわかりませんが、マスクをつけての出演であればハードルも低いでしょうし、漫画広告と同じく制作費用が安く効果が高い広告を追求した結果なのだと思います。
Youtubeの脱毛広告の内容は誇大広告?
こうしたYoutubeの脱毛サロンの広告は「過大広告ではないか?」という意見も多く見られました。
実際に過大広告で消費者庁から行政処分を受けたエタラビ、景品表示法違反で措置命令を受けた脱毛ラボなど、広告の内容が問題で信頼や評判が失墜、破産に追い込まれた脱毛サロンは多く存在します。
Youtubeの脱毛広告で多く見られる訴求内容について、過大広告に該当するかどうか見ていきたいと思います。
0円でできる
「0円で脱毛ができる!という広告を見ましたが本当ですか?」という口コミを目にしました。0円で脱毛ができるとはにわかには信じがたく、実際は料金が必要だとすると誇大広告と言わざるを得ないと思います。
しかし私が少し調べた限りでは「0円でできる」といった内容の広告はなく、「980円・1000円で体験できる」と広告の中で触れられているのみでした。実際にメンズクリアでは980円で「鼻下・口下・もみあげ・両頬・あご・あご下+首のヒゲ全体1回」の体験ができるようなので、誇大広告ではないということがわかります。
Amazonギフト券がもらえる
Youtubeの脱毛広告では、広告の中で「3万円分のAmazonギフト券もプレゼント!」と訴求されているものもあります。3万円分のキャッシュバックは非常にお得だと感じる方が多いのではないでしょうか。
右下に「※全身脱毛通い放題2年プランをご契約いただいた方」と記載されています。メンズクリアの公式ホームページには「全身脱毛通い放題2年プラン」の料金は記載されていませんでしたが、非公式で「798,980円」という情報がありました。
そのため、高額プランを契約した際のプレゼントとして用意されているものだと推察されます。しっかりと注意書きがされているので誇大広告とは言えませんが、自分の場合に当てはまるかどうか注意が必要です。
家庭用脱毛機がもらえる
Youtubeの脱毛広告では、広告の中で「約12万円相当の家庭用脱毛機がついてくる!」と訴求されているものもあります。まるでテレビショッピングのようですが、12万円相当という数字は非常に魅力的に思えます。
しかしこちらも同じく右下に「※全身脱毛通い放題2年プランをご契約いただいた方」と記載されています。そのため、高額プランを契約した際のプレゼントとして用意されているものだと推察されます。しっかりと注意書きがされているので誇大広告とは言えませんが、自分の場合に当てはまるかどうか注意が必要です。
ちなみにこちらの家庭用脱毛器は、高級家庭用脱毛器「HOME CLEAR」のようです。
有名芸能人のそっくりさんが登場する
メンズクリアの2021年の広告では、ユーチューバーのHIKAKINさんのそっくりさんを登場させていたようです。
「HIKAKIN」と言及はないので当然過大広告ではありませんが、「ヒカキンが出演している!?」と視聴者の注目を集めるための表現手法なのだと思います。
内容が不快
そして誇大広告では全くありませんが、「Youtubeの脱毛広告は内容が不快、うざい、最悪」といった声は多いです。
浮気や不倫をテーマにしたり、ベッドインなど性的な描写があったり、女性のプロポーションなどセクシャルな表現があるのがその原因でしょう(下品な言葉を使わずに表現するのが大変です笑)。私も同じ意見ですし、「Youtube大丈夫か?」「この広告は意味があるのか」とも思ってしまいます。
しかし、効果がない広告はそもそも続かないはずです。そしてこうした広告が続いているということは「しっかりと効果を出している」ことの裏付けでもあります。浮気ものや不倫もののウェブ漫画が人気になるように、こうしたコンテンツは一定の需要があるということなのでしょう。
不快な広告を消す方法
こうした広告を不快に感じる方に向けて、不快な広告を消す方法についても説明しておきます。
Youtube Premiumに登録する
1つ目は、月額1,180円でYoutube Premiumに登録するというものです。
Youtube Premiumでは、広告なしの再生、オフライン再生、バックグラウンド再生をYouTubeとYouTube Musicで利用することができます。最近はYoutubeの広告もどんどん増えているため、私の友人でも使っている人は多いです。
一方で、Youtube上の広告をブロックするだけに留まってしまいます。
広告ブロッカーをインストールする
2つ目は、広告ブロッカーのアプリやプラグインを利用するというものです。
ご存知の方も多いと思いますが、iPhoneやAndroidには広告をブロックするアプリが沢山あり、アプリのランキングでも上位に入る人気アプリになっています。いかに広告が嫌われているかがよくわかりますね。
またパソコンでも、Chromeなどのブラウザに広告をブロックするプラグインを入れることで広告のブロックが可能です。
広告をブロックするブラウザを使う
3つ目は、広告をブロックするブラウザを使うというものです。
例えばBraveというブラウザは、アクセスするすべてのWebサイトのトラッカーと広告をブロックしてくれます。一方で広告を見れば仮想通貨が手に入るという仕組みにもなっており、新しい物好きの方はぜひ試してみてください。
Youtubeの脱毛広告に対する私自身の意見・考察
最後にこうしたYoutubeの脱毛広告について、あくまで私自身のものではありますが、意見や考察を述べたいと思います。
- 広告の効率・効果を最大化した結果である
- 結果だけでなく倫理的な観点も重要
- 会社の企業文化は中長期的に明るみに出る
広告の効率・効果を最大化した結果である
まず、こうした脱毛広告は「広告の効率・効果を最大化した結果である」ということが言えると思います。
かつて有名タレントの起用やCM放映が、多くの脱毛サロンの破産・倒産を引き起こしたというのは紹介した通りです。そして消費者のメディア接点がテレビからYoutubeやInstagramなどに移り変わるにつれて、脱毛サロンの広告も、安い費用で試すことができ広告効果も明らかにできるデジタル広告へシフトしたのでしょう。
そのため、漫画広告にせよ、女性スタッフが登場する広告にせよ、効率や効果が明らかになるデジタル広告を追求した結果として残っているものということです。「不快だ」「誇大広告だ(※実際には違いますが)」といった意見があっても、結果が出ているのだから企業活動としては正しいのです。
メンズクリアの女性スタッフ広告については、それ自体がミームとなり、ユーチューバーが取り上げるほど話題にもなっています。物議を醸すこと、炎上することは、現代においては必ずしもネガティブなことばかりではないのです。
結果だけでなく倫理的な観点も重要
一方で、「結果だけでなく倫理的な観点も重要である」と私自身は考えています。
ビジネスに限らず、スポーツも人付き合いも、「結果が出れば何をしてもいい」というわけではありません。世の中のあらゆる商品やサービスは、消費者にお金を支払っていただくものである限り、そこには社会的な責任が発生します。
誇大広告ではないというのは説明した通りですし、脱毛広告を嫌っている人ばかりではなく楽しんでいる人も沢山いるというのが現状ですが、今後不満の声が大きくなってくる可能性はゼロではないと思います。
その時に、結果や効率だけではなく倫理的な観点に配慮できるかどうかに企業としての態度が問われるでしょう。
会社の企業文化は中長期的に明るみに出る
そしてこうした「会社の企業文化は中長期的に明るみに出る」ということは歴史が証明しています。
脱毛サロン・エタラビの倒産の理由の1つとして消費者庁からの行政処分がありますが、エタラビについては行政処分を受ける前からクーリング・オフや消費者相談センターへの相談が相次いでいたそうです。会員への返金拒否や返金遅延を行う、すぐ予約が取れるというのに全く予約が取れないなど、ずさんな企業活動があったようなのです。
企業活動は多岐に渡りますが、1つ1つの行動の指針となるのは企業文化です。「これはして良いことか?してはいけないことか?」、従業員一人一人が判断するときに拠り所にするのは企業文化や一緒に働く同僚の姿でしょう。
結果や効率だけを追い求める広告を行っている脱毛サロンがあるとするならば、そうしたマインドは他の部分にもきっと現れており、今すぐではなくともいつか必ず明るみに出ると私は考えています。
まとめ
脱毛サロンのYouTube広告について、その内容や狙いを説明させていただきました。
参考になれば幸いです!