コラム的に自分の考えを記したいと思います。テーマはタイトル通り「戦略コンサルの今後」です。
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戦略コンサルとは
僕が昔お世話になっていた「戦略コンサル(戦略ファーム・外資系コンサルティング会社)」とは、クライアント企業の様々な課題解決に携わり、その対価として報酬をいただく仕事を営んでいる会社です。そしてその「課題解決」は、①CEOレイヤー(カッコつけて、CEOアジェンダと呼ばれます)であること、②名だたる企業をクライアントとしていること(これは戦略コンサルへの高額なフィーを払えるかどうかという要件により逆選抜されます)、という2つの特徴を備えています。
特に僕がいたファームはアルムナイ(同窓会ネットワーク)が強固で、今日も過去の知り合い・現役で働く方数人とオンラインで話す機会がありました(こうしたネットワークは本当にありがたい)。そのような中で、戦略ファーム自体の変質と、その未来について思考を巡らせたのでメモ的に書き残しておきたいと思います。誰の役に立つかは不明ですw。
戦略ファームにおける変化と、それが与える影響をセットで紹介してゆきます。
①人材の変質
僕がファームに在籍していた4〜5年前頃は「尖った人」が多かったギリギリの時代だったと思います。いわゆるエリート就活・転職ではもっと前からもてはやされていましたが、書籍やNewsPicksなどのメディアで戦略ファームの存在が取り沙汰され、卒業生が活躍するにつれて、その存在が急速に一般化していた時代だったと認識しています。
代表的なのは、伊賀泰代さんによる「採用基準」、安宅和人さんの「イシューからはじめよ」でしょうか。どちらも超名著ですが、マッキンゼー畑の方の著作ですねw(B●Gは個別事象をまとめるのは上手いのですが、抽象レイヤーの優れた概念提唱に弱い印象があります)。
閑話休題、そうして一般認知が広まるにつれて「ハイレベルなビジネススキルを体系的に学ぶことができる登竜門」のような存在になっていったように思います。し、きっと採用におけるそのようなブランディングもあったのではないかと感じています。従って「やりたいことはまだ見つかってはいないが、とりあえずよしとされる環境に行きたいのでコンサルに行く」という人の割合が一定数増えたというのが私の印象です。
このようなエリートモラトリアムの性質は過去にもあったでしょうが、より強くなっている。「コンサルタント」という職に対してノブリスオブリージュを持って志望されている方がどれだけいるのかは私は甚だ疑問です。「抽象度が極めて高いレバーを動かすことで、本質的なクライアント課題を定義し解決する」ということに情熱を持って取り組む、それを志願する方が優先される場であって頂きたいと考えています。
②ユーザーに向き合う体験の欠如
戦略ファームにとってのユーザーは「クライアント」です。「いやそれは課題によって異なるので、クライアントを取り囲むあらゆるステークホルダーがユーザーになり得る」といった綺麗事はいくらでも言えると思うのですが、クライアント企業のトップ層を「動かす」ことが職務の1つである戦略ファームにおいては、高度な社内政治・クライアントコミュニケーションが必須の要素となります。従って、やはり私は戦略ファームの最大のユーザーは「クライアント」であると断言します。
度々紹介する概念ですが、インターネットビジネスにおけるKingは「ユーザー」です。社内担当者や調査、戦略など関係なく、ユーザーが見向いてくれなければ何もできません。そして、世の中のあらゆるビジネスは急速にインターネット化しています、俗に言うDXというやつです。
そうなったときに、コンサルタントが向き合う課題において「ユーザーに向き合う」割合は増えるはずです。そうした際に現状の戦略ファームがどれだけadd valueできるかは私は甚だ疑問です。なぜならユーザーは「クライアント」でしかなく、時間をかけて戦略を描いてもその前提は刻一刻と変わってゆくからです。もちろんMckinseyもBCGもデジタル部門を急速に強化していますが、Accentureのような化物リソースがなければインターネット化したビジネスの本質的な課題解決は難しくなるのではないかと思います。
(そもそもインターネット化したビジネスにおいて外注という判断自体が危険であるということはいつか紹介できたらと思います)
③実行レイヤーの相対的重要化
②にも大きく通ずることですが、戦略と実行という2フェーズがあった際に、実行レイヤーの重要度は相対的に高まっています。もちろん製造業のような長いビジネスプロセスを描く業態においては戦略部分の比重が大きくなりますが、前述した通り世の中のビジネスは急速にインターネット化しており、そのビジネスプロセスは極めて短いです。今日あった前提は明日には変わっており、5GやIoTが浸透すれば獲得可能なデータ数は指数関数的に増え、そのサイクルは極めて短くなってゆくでしょう。そうなったときに戦略はもはや意味をなさなくなります。
まとめ
以上、時間の関係もあり非常に雑な記述をしてしまいましたが、古巣について思っていることをつらつらと書いてみました。若干偏った見方もあると思いますし、志ある素晴らしい方たちは確かに存在し、最高峰の課題解決力を持って目の前の課題に正しい手を打っているはずです。
思索を巡らせながら、今後の戦略ファームの今後を楽しみにしたいと思います、そして、戦略ファームについてはその歴史などをどこかでしっかりとまとめようと決めました。お楽しみに。