東大を卒業後、戦略コンサル・VCで勤務していた「チルbot」です!
脱毛は老若男女問わず急速に広まっており、脱毛サロンやクリニックを検討している方も多いと思います。
しかし実は脱毛サロンやクリニックは倒産して潰れる、事業が上手くいかず撤退・閉店するケースが非常に多く、そうした場合は返金や脱毛サービスが受けられないという最悪のリスクも発生するのです。
そうした脱毛サロンの倒産事例としては、矢田亜希子さんや山Pらを起用していたエタラビの2017年の倒産が挙げられます。
エタラビはどうして倒産してしまったのか、消費者はどうやって身を守ればいいのか、脱毛サロンのビジネスモデルや危険性なども含めて徹底解説したいと思います。
エタラビが倒産した理由
早速ですが、エタラビが2017年に倒産してしまった理由は以下の通りです。
- 広告宣伝費・固定費の増大
- 解約希望会員への返金拒否や誇大広告による業務停止命令
- 信用低下による解約急増
簡潔には以上終了なのですが、今回の記事の目的は「皆さんが脱毛サロンやクリニックを選ぶときに身を守れるようになってもらうこと」です。自分ごととして理解を深めるために、脱毛サロンの倒産や閉店について詳しく説明したいと思います。
脱毛を含むエステティック業の倒産や閉店は多い
実は脱毛サロンやクリニックの倒産や、倒産まで至らずとも閉店・閉業は非常に多いです。
脱毛クリニック・サロンの倒産は増えている
2019年に東京商工リサーチが実施した「2019年エステティック業倒産動向調査」によると、脱毛サロン・クリニックを含んだのエステティック業の倒産は、2019年に73件で過去最多となったそうです。
負債総額は29億2,200万円でしたが、その内訳としては負債1億円以上の大規模なもの5件、そして負債1億円未満の比較的小規模なものが68件で全体の9割以上となっており、小規模な個人サロンの倒産が進んでいることがわかります。
エステティックサロンは参入障壁が低く、個人経営の個人サロンが増えていますが、施術内容の差別化ができないため顧客獲得が難しく、顧客獲得に費やす広告費などがかさんで倒産してしまうパターンが増えているのです。
脱毛クリニック・サロンの撤退・閉店も増えている
そして倒産まで至らずとも、事業がうまくいかずに撤退・閉店してしまうケースも増えています。
特に最近では、元NEWSの手越祐也さんがプロデュースする「TEGOSHI BEAUTY SALON」や俳優の新田真剣佑さんがプロデュースする「AmSALON」など、有名人・芸能人の人気や知名度を武器にした脱毛サロンやクリニックが増えていますが、軒並み撤退に追い込まれているのです。
脱毛サロン・クリニックのビジネスモデルの特徴
なぜ脱毛サロンやクリニックの倒産や撤退が相次いでいるのでしょうか?
まずはその前提として、脱毛サロン・クリニックのビジネスモデルの特徴を説明したいと思います。
- 広告費を中心とした費用が先出する
- キャッシュは中長期的に回収する
- 黒字化まで時間がかかり中長期的な経営が必要
それでは順番に解説していきたいと思います。
広告費を中心とした費用が先出する
脱毛サロン・クリニックのビジネスモデルの特徴の1つ目は、「広告費を中心とした費用が先出する」というものです。
脱毛サロン・クリニックの運営に必要な費用としては主に以下のようなものがありますが、このうち大きな割合を占め、かつ重要度が高いものが「広告費」です。
- 広告費
- 店舗賃料
- リース料(脱毛機器をリースしている場合)、または減価償却費(脱毛機器を購入した場合)
- 人件費
脱毛サロン・クリニックを開業しただけでは当然お客さんは来てくれないので、広告やプロモーション、キャンペーンで認知を広げ、来客を促進する必要があります。こうした活動全般にかかる費用が広告費です。
そして、広告費を用いた活動の結果、お客さんが来店・契約をしてくれないと収益は発生しません。そのため収益を得るよりも先に広告費や店舗賃料、リース料、人件費などの費用が必要となり、お客さんが来るまで永遠にその費用を支払続けなければいけなくなります。
キャッシュは中長期的に回収する
脱毛サロン・クリニックのビジネスモデルの特徴の2つ目は、「キャッシュ(現金)は中長期的に回収」というものです。
種類にもよりますが、脱毛には10万円以上の費用が必要となります。多くの人にとっては高額に感じられるでしょう。
光脱毛 (美容脱毛) | ニードル脱毛 (電気脱毛) | レーザー脱毛 | |
---|---|---|---|
処置 | 光で毛根にダメージを与える | 針を刺し電流で一本ずつ処理 | レーザー光で毛根を破壊する |
特徴 | 2000年代に登場した 最も新しい脱毛方法。 近年でも新しい手法が登場。 | 150年近い歴史を持つ脱毛方法で、 ダンディハウス・メンズTBCなど 歴史あるクリニックが主流 | 1980年代に登場した 比較的新しい脱毛方法。 費用は高額でお試しはない |
自己処理を減らすために 必要な通院数と費用 | 8〜10回 (8〜10万円) | 5〜6回 (15〜20万円) | 5〜6回 (7〜9万円) |
ツルツルにするために 必要な通院数と費用 | 〜25回 (20-22万円) | 〜15回 (25-35万円) | 〜13回 (13-18万円) |
そのため多くの脱毛サロン・クリニックは分割払いに対応しており、月々数千円から脱毛を受けられるプランも用意しています(4年間で48回分割払いものプランも多いです)。つまり脱毛サロン・クリニックは一度にまとまったお金を支払ってもらえる場合ばかりではなく、分割された金額を少しずつ回収していくような場合も多いということです。
例えば現金支払いのラーメン屋であれば、ラーメンを提供した瞬間に収益が発生して現金を回収することができますが、脱毛サロンの場合はゆっくり時間をかけて現金を回収しなければいけないのです(※ファクタリングサービスなどを使っている事業者も多いとは思いますが、いずれにせよキャッシュフローを圧迫することには変わりません)。
黒字化まで時間がかかり中長期的な経営が必要
脱毛サロン・クリニックのビジネスモデルの特徴の3つ目は、「黒字化まで時間がかかる」というものです。
上述したように、脱毛サロン・クリニックにはお客さんを呼ぶための費用が先に必要となり、その結果お客さんが脱毛サービスに契約してくれてもすぐに全額を回収できるわけではなく、現金を少しずつ回収していく形になります。
そのため、広告が成功してお客さんを呼び込めたからと言ってすぐにその利益が発生するわけではなく、中長期的に時間をかけて利益を回収していくようなモデルになるのです。結果として、中長期目線でのシミュレーションを組んで、売上や利益など目先の誘惑に負けずにコツコツと経営をしていく必要があると考えられます。
後述しますが、こうした中長期的な経営ができず、誘惑に負けて出店やプロモーションを急ぎ、キャッシュフローを圧迫してしまうことが脱毛サロン・クリニックの倒産の主な理由だと考えられます。
脱毛サロン・クリニックのリスク・危険性
脱毛サロン・クリニックのビジネスモデルの特徴を踏まえ、倒産や撤退に直結するその中に潜んだリスクや危険性を説明したいと思います。
- 競争環境の激化
- 顧客の取り合いによる低価格競争、広告費の高騰
- 短期目線の経営によるキャッシュフローの圧迫
こちらも順番に解説していきたいと思います。
競争環境の激化
脱毛サロン・クリニックのリスクの1つ目は「競争環境が激化していること」です。
最近では、ローランドや手越祐也など有名人・芸能人が脱毛サロンのプロデュースを始めたりと、脱毛業界への新規参入が増えています。Youtubeなどで脱毛サロンの広告やキャンペーンを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
当然その結果成功するかは別問題なのですが、以下のような理由から脱毛業界は参入障壁が比較的低いのです。
- 在庫不要で低リスク
- 人材育成が容易
- 多数乱戦の業界構造
- 脱毛器具・機械の低価格化
そして参入障壁が低いということは、参入する事業者が増える、つまり競合・ライバルが増えやすいということです。
脱毛に対するニーズは増えているものの、当然脱毛サロンやクリニックの数が増えれば、そのニーズを抱えているお客さんの取り合いになります。脱毛業界は、競合が多いレッドオーシャンの厳しい競争環境になりつつあるのです。
顧客の取り合いによる低価格競争、広告費の高騰
脱毛サロン・クリニックのリスクの2つ目は「顧客の取り合いにより低価格競争や広告費の高騰が進んでいること」です。
脱毛業界の競争環境が激化しているということは伝えさせていただきましたが、そうした環境で脱毛サロンやクリニックはどうすれば良いのでしょうか?他よりも安くサービスを提供したり、大々的な広告やキャンペーンを実施して、自分達のサロンやクリニックに目をつけてもらうようにしなければいけません。
当然低価格化は収益を圧迫しますし、様々なサロンやクリニックが広告の希望を出すと、広告費が高騰するだけでなく、広告のパフォーマンス・効果も悪化してしまうはずです。
短期目線の経営によるキャッシュフローの圧迫
脱毛サロン・クリニックのリスクの3つ目は「短期目線の経営によりキャッシュフローを圧迫してしまうこと」です。
解説した通り、脱毛サロン・クリニックは黒字化まで時間がかかるため中長期的な経営が必要です。お客さんが来てくれているからと言ってキャッシュをすぐに回収できるわけではなく、すぐに利益が出るわけでもありません。
しかし調子が良く見えると成功を急いでしまうのが人間の性です。
「もっと広告費を掛ければもっとお客さんが来てくれるのではないか」
「店舗を出店すればさらに規模拡大できるのではないか」
「ライバルが出てくる前にもっと投資をして絶対的なポジションを築くべきではないか」
こうした悪魔の囁きに負けてしまい、広告費の増加や急速な出店など規模拡大へと向かってしまいます。そしてそのための追加費用が短期的に必要になるものの、上手くいかずに収益やキャッシュを回収できず債務超過に陥ってしまうのです。これは脱毛サロンやクリニックだけでなく、あらゆるビジネスに共通する典型的な失敗パターンです。
そしてこうした誘惑はうまく行っている時に来るからこそ冷静な判断ができなくなってしまいます。「これだけお客さんが来ているのだから、広告費や店舗数を増やせばもっとうまくいくだろう」と考えてしまいがちなのです。
そのため私は、脱毛サロンやクリニックはきらびやかに見えますが、質実剛健な経営者の方が成功すると考えています。
エタラビ(エターナルラビリンス)の破産・倒産とその原因
こうしたリスクや危険性から倒産に至ってしまった脱毛サロン・クリニックはいくつかありますが、そのうち代表的なものが2027年4月5日の「エタラビ(エターナルラビリンス)」の倒産です。
エタラビ(エターナルラビリンス)とは
「エタラビ」は、全国に100店舗のを展開していた女性専用脱毛サロンです。
山下智久さん、鉢嶺杏奈さんなどの著名なタレントをイメージキャラクターに起用するなど、積極的な広告プロモーションで規模を拡大していました。そして東京・神奈川・大阪・宮城・福岡などの大都市に店舗を展開していました。
エタラビ(エターナルラビリンス)の運営会社
エタラビの運営会社は株式会社グロワール・プリエ東京でした。
グロワール・プリエ東京は、元ホストという異色の経歴をもつ下田友洋氏によって2003年12月に設立されます。規模拡大を続けるものの、2016年に特定商取引法違反で9ヶ月の業務停止命令を受けたことをきっかけに資金繰りが悪化、脱毛サロン事業を株式会社RVHに譲渡したのち、事業継続が不可能となって2017年3月に破産を申請しました。そして2019年には破産手続きが終わり法人格が消滅しています。
グロワール・プリエ東京は、「エターナル・ラビリンス(通称エタラビ)」という女性専門脱毛サロンを展開していましたが、子会社のミスプレミアムは「ラットタット(ra・tt・at)」という同じく脱毛サロンを展開していました。つまり2つの脱毛サロンブランドを抱えていたということです。
年 | 沿革 |
---|---|
2003年 | ・元ホストの下田友洋氏によって、2003年12月にグロワール・プリエ東京が創業。 |
2015年 | ・2014年9月期に約28億円もの売上を上げる |
2016年 | ・2016年4月に山下智久さんと鉢嶺杏奈さんを起用したテレビCMが放映開始。 ・8月に消費者庁から特定商取引法違反で9ヶ月間の業務停止命令の行政処分を受ける。 ・2015年9月期には債務超過に陥る。 ・9月23日に株式会社RVHから3億5,000万円の資金を借り入れる。 ・期限の10月23日までに返済ができず、店舗などの資産が株式会社RVH下のミュゼプラチナムに譲渡されることが決まる。 |
2017年 | ・3月24日にミュゼプラチナムへの事業譲渡が完了。事業継続が不可能に。 ・3月28日に東京地方裁判所へ自己破産を申請、4月5日に破産手続き開始 |
2019年 | ・6月26日に破産手続きが終了、法人格消滅。 |
エタラビ(エターナルラビリンス)の社長:下田友洋氏(2003年〜2017年)
エタラビを運営していた株式会社グロワール・プリエ東京の創業者、下田友洋氏の経歴を紹介します。
下田氏は1973年に生まれ、No.1ホストからエステ業界に転身、エタラビを創業します。「年収3000万円の元ホスト社長」としてテレビにも出演していたそうで、自宅は六本木ヒルズで家賃85万円だと話していたそうです。
エタラビの破産・倒産の経緯
そんなエタラビの倒産騒動については、事業譲渡などビジネス的な観点が深く関わっています。わかりやすく図解するとともに、年表でまとめてみたので、読み物を読む感覚でご覧いただけたらと思っています。
株式会社グロワール・ブリエ東京は、脱毛エステサロン「エターナルラビリンス」を全国に約100店舗展開していた。また、2012年からはまつげエクステサロン「MAQUIA(マキア)」の経営も開始していた。会員数は約9万人にのぼる。ゴージャスな雰囲気の店内で、比較的低価格で高級感を感じながら全身脱毛を行えるとして定評があったサロンだ。2014年9月期には、売上高約28億円をあげていた。
しかし、広告宣伝費や固定費の増大により、近年経営状態が悪化した。2016年には契約の途中で解約を希望した会員への返金拒否や虚偽誇大広告などが発覚、消費者庁から9か月間の一部業務停止命令を受けている。これにより解約が急増し、さらに財務や資金繰りが急速に悪化、事業を継続することは困難となった。
2016年9月には、広告事業やシステム開発を手掛ける株式会社RVH <6786> から借入を行い、店舗などの資産に担保権が設定されたRVHは、2015年12月に、美容脱毛サロン大手の「ミュゼプラチナム」を買収している。借入と同時にスポンサー支援に関する基本合意書を締結し、RVHとミュゼ社が従業員を引き受けた。
2017年3月24日には、株式会社グロワール・ブリエ東京とミュゼ社との間で事業譲渡契約を締結したことで、事業失態がなくなる。それにより事業継続が不可能となったこと、多額の債務があるとして、2017年3月28日、破産を申告した。
https://zuuonline.com/archives/148165
2003年:株式会社グロワール・プリエ東京の事業としてスタート
脱毛エステサロン「エタラビ(エターナルラビリンス)」を全国に100店舗展開していた株式会社グロワール・ブリエ東京は、2017年の4月5日に破産手続きを開始して倒産しています。会員数は9万人で、2014年9月期には約28億円もの売上高をあげていましたが、それから3年で倒産に向かってしまうこととなります。
2014年:矢田亜希子さんをイメージキャラクターに起用
2014年には女優の矢田亜希子さんをイメージキャラクターに起用し、CMを展開します。
矢田亜希子さんのブログでは、2013年の10月にエタラビを訪れて下田社長にも挨拶をしたことが書かれていました。
ここ、「エターナル・ラビリンス」というお店♪
お洒落なお店ですよね♪
今回は特別に下田社長さんにも御挨拶させて頂きました。
https://ameblo.jp/akiko-yada/entry-11641886388.html
タレントにとっては仕事ですし悪気はないのでしょうが、倒産騒動でたくさんの被害者を出したサービスを広めていた社会的責任は無視できないはずです。最近仮想通貨のCMに大谷翔平さんが出演していたことも話題になっていましたが、できれば仕事は選んでほしいなと思っています。
2015年:売上高が28億円を突破
こうした広告活動の成果もあってか、2015年には売上高が28億円を突破しました。
更なる成長を目論んで2016年には更なる広告展開を行いますが、これがエタラビ破産の始まりでした。
2016年:有名タレントをイメージキャラクターに起用
2016年、エタラビは元NEWSの山下智久さんと女優の鉢嶺杏奈さんをイメージキャラクターに起用し、新しいCMシリーズを展開しました。
そして、渋谷駅前に巨大な屋外広告を出したり、宣伝トラックを走らせたりと、派手なプロモーションを実施していました。
2016年には、競合となる「キレイモ」はぺこ&りゅうちぇるさんを、「ミュゼ」は池田エライザさんをと、脱毛サロンが次々と有名タレントを起用していました。そしてこれらの脱毛サロンは全て事業売却に追い込まれることとなります。
後述しますが、私はこうした有名タレント起用という誘惑やマス広告への投資が、脱毛サロンの破産の引き金になっていると分析しています。
2016年8月:消費者庁から行政処分を受ける
こうした派手なプロモーションの最中、エタラビに関するニュースが世の中を包みました。
何と、エタラビが特定商取引法違反で消費者庁から業務停止命令の行政処分を受けたのです。結果として、新規勧誘の契約が8月25日から9ヶ月間行えなくなってしまいました。
特定商取引法違反の具体的な内容としては7つの違反が挙げられており、代表的なものとしては以下の通りです。
- ホームページや広告で月額9,500円で全身脱毛が受けられると記載していたが、これは代金を一括で払った場合の1ヶ月当たりの金額であり、分割払いでは月額9,500円とはならなかった
- 「間違いなく予約が取れます」などと告げていたものの、店舗の店舗の脱毛器具数、施術部屋数、エステティシャンの人数等が会員数に対して圧倒的に少なく、予約を取ることが困難な状況だった。
- クーリング・オフや解約をした会員に対して、返金拒否や返金遅延をおこなっていた
消費者庁リリースより
2016年9月:債務超過で資金借入、返済ができず店舗が差し押さえられる
そしてエタラビは、業務停止命令前の2015年9月期(2015年9月〜2016年8月)に債務超過に陥っていたことも判明しました。山下智久さん、鉢嶺杏奈さんを起用した広告費用が高くついてしまったのでしょう。
追い込まれたエタラビは、9月23日に店を店舗にして株式会社RVHから3億5,000万円の借入を行いました。RVHはグラフィックボードの製造やゲーム開発などを手掛ける会社であり、2016年1月にはミュゼプラチナムの事業譲渡を受けて脱毛サロン業界に参入していた会社です。
しかし返済期限である10月23日までに返済ができず、担保である店舗などの資産は差し押さえられ、RVH傘下のミュゼプラチナムに店舗などが譲渡されることとなりました。もうエタラビは事業継続ができなくなってしまったのです。
裏話ですがエタラビから事業譲渡を受けたRVHは、その後2020年に脱毛事業をG.Pホールディングに売却しています。脱毛事業で500億円近い売上高を上げていたものの赤字のままで、黒字化は不可能と判断したのでしょう(その意味では私はミュゼプラチナムは近いうちにまた騒動があるのではと思っています)。
2017年:破産手続き開始
そして2017年3月24日にミュゼプラチナムへの事業譲渡が完了。完全に事業継続が不可能になり、株式会社グロワール・プリエ東京は3月28日に東京地方裁判所へ自己破産を申請、4月5日に破産手続きを開始します。
破産申請時の負債総額は97億7335万円、当時としてはエステ関連企業の倒産で過去2番目の負債額でした。
2019年:法人格消滅
そして2019年5月にグロワール・ブリエ東京は債権者に対する最終配当を完了しました。これによって6月26日に破産手続きが終了、法人格が消滅し、株式会社グロワール・ブリエ東京は文字通り消えて無くなったのです。
エタラビが潰れた理由は?
エタラビが倒産した理由は、広告宣伝費・固定費の増大、解約希望会員への返金拒否や誇大広告による業務停止命令、信用低下による解約急増です。
- 有名タレント起用に伴う多額の広告費
- モラルを欠いた企業活動が産んだ業務停止命令
- 信用低下による解約急増
有名タレント起用に伴う多額の広告費
まず1つ目は「有名タレント起用に伴う多額の広告費」があったことです。
上述の通りエタラビは、2014年に矢田亜希子さんを、2016年には山Pこと山下智久や鉢嶺杏奈さんをイメージキャラクターに起用するなど積極的な広告活動を行なっていました。
しかし、多額の広告にかけた費用はすぐになくなってしまいますが、その結果得られる収益は時間をかけて回収されるというのは説明した通りです。結果として2015年9月期には既に債務超過に陥ってしまっていました。
余談ですが、2016年には、競合となる「キレイモ」はぺこ&りゅうちぇるさんを、「ミュゼ」は池田エライザさんをと、脱毛サロンが次々と有名タレントを起用していました。
おそらく広告代理店が「競合は有名タレントを起用していますよ」などと耳打ちして、多くの脱毛サロンがタレントを起用したのでしょう。その結果、これらの脱毛サロンは全て事業売却や倒産に追い込まれているのです。
モラルを欠いた企業活動が産んだ業務停止命令
2つ目は「モラルを欠いた企業活動が産んだ業務停止命令」です。
2016年8月には、月単位の契約ができないのに「月額9,500円」と虚偽誇大広告をしていたり、クーリングオフを不当に遅らせるなど7つの違反行為によって消費者庁から9ヶ月の業務停止命令を受けてしまいました。当時脱毛サロンに対する9ヶ月の業務停止命令は異例であり、その間は売上を上げることができない状況に追い込まれます。
そして業務停止命令を受ける前から、エタラビに関する消費者相談センターへの相談やクーリングオフは相次いでいたそうです。つまり業務停止命令は明るみになったきっかけであって、モラルを欠いた、ずさんな企業活動が長く行われていたのだと思います。こうした企業の文化形成は不可逆であり、設立時からその予兆はあったはずです。
信用低下による解約急増
3つ目は「信用低下による解約急増があったこと」です
当然こうした違反行為の発覚や業務停止命令は、企業やサロンの信頼を失墜させます。新規顧客が獲得できなくなっただけではなく既存顧客からの解約も相次ぎ、9ヶ月を待たずして2017年の3月に破産申告をする形となりました。
エタラビの倒産・破産で返金はされた?
エタラビの倒産後、お客さんが支払った料金は返金されたのでしょうか?エタラビの契約では、脱毛料金を分割して支払うようになっており、解約を希望しても支払い済みの施術料金の返金は極めて難しくなってしまっていました。
借入を行ったRVHが運営するミュゼで脱毛サービスを受けられる便宜は図られたようですが、料金を支払い済みであっても定価の38%の追加料金を支払う必要があったようです。
通っている脱毛サロンが倒産したときに返金ができるか、支払い停止ができるかなどの対応についてはこちらの記事で解説しているので、脱毛を検討している方はぜひみていただけたらと思っています。
倒産の危険がある脱毛サロン・クリニックは絶対に選んではいけない!
このように、万が一通っている脱毛サロンが潰れる・破産する・倒産するようなことがあった場合には、返金もされず、サービスも受けられないことが一般的です。
実際にエタラビや脱毛ラボが倒産した際には、弁護士を通じて集団訴訟を検討する方もいたようですが、そもそもその手間暇は果てしなく、結局は泣き寝入りになってしまうことが多いはずです。
そのため、私は脱毛を検討している方には「倒産や破産のリスクがないサロンやクリニックを選ぶこと」を他のどんなことよりも大切にしてほしいと考えています。これは実際に世の中で起こった事実なのです。
まとめ
脱毛サロン・エタラビの倒産について、その理由や原因を説明させていただきました。
こうしてビジネス的な側面から見てみると、「小規模の脱毛サロンは選ばない方が良い」など新しい側面が見えてくるのではないでしょうか。他のポイントも含めて脱毛を検討している方に向けた選び方や基準はこちらの記事で解説しているので、ぜひご覧ください!