
東大を卒業後、外資メーカー・戦略コンサル・VCで勤務していた「チルbot」です!
- 主な戦略コンサルと総合コンサル
- 戦略コンサルと総合コンサルの違い(年収・社員数・CXO案件比率等)
- 戦略コンサルと総合コンサルの違い
- 戦略コンサル転職、ファームtoファームへのアドバイス
コンサルティングファームというと、マッキンゼーやBCGなどのいわゆる「戦略コンサルティングファーム」を思い浮かべる方は多いと思います。
しかしコンサルティングファームには、戦略コンサルだけでなく、総合コンサル、会計コンサル、ITコンサルなどさまざまな種類が存在し、それぞれによって特徴も大きく異なるのが実態です。
そこで今回は、戦略コンサルティングファームと総合コンサルティングファームの5つの違い、そしてその違いを作った歴史も交えて解説していきたいと思います。
この記事を読めば、戦略コンサルと総合コンサルの違い、そして今後のコンサル市場について理解ができるはずです。
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主な戦略コンサルと総合コンサル
それでは戦略コンサルと総合コンサルの違いを説明する前に、そもそもそれぞれどんな会社があるのかを紹介します。
戦略コンサルと総合コンサルの分類自体はその歴史や変遷が非常に面白く、1つのトピックにもなるのですが、一旦は割愛して主な戦略コンサルと総合コンサルを列挙したいと思います。まずは戦略コンサルティングファームです。
- マッキンゼー&カンパニー
- ボストンコンサルティンググループ(BCG)
- ベイン&カンパニー
- A.T.カーニー
- ローランドベルガー
- アーサー.D.リトル
- アクセンチュアストラテジー
- PwC(Strategy&)
※アクセンチュアとPwCは全体としては総合コンサルだが、グループの中に戦略特化組織が存在
続いて総合コンサルティングファームを列挙します。
- アクセンチュア
- デロイトトーマツ
- PwC
- EY
- KPMG
- IBM
- 野村総合研究所
- アビームコンサルティング
- ベイカレント
コンサルへの就職・転職を考えている方であれば目にしたことがある名前が並んでいることかと思います。それではこうした戦略コンサル・総合コンサルには一体どのような違いがあるのでしょうか?
戦略コンサルと総合コンサルの違い
戦略コンサルティングファームと総合コンサルティングファームの違いについては、以下の5つの点が挙げられます。
戦略コンサル | 総合コンサル | |
---|---|---|
CXO案件の比率 | 一定存在(15〜20%) | 少ない |
課題の抽象度 | 高い場合が多い | 低い場合が多い |
社員数 | 少数精鋭(数万人) | 少数精鋭(数十万人) |
プロジェクト報酬 | 数千万円〜/月 | 数百万円〜/月 |
給与・年収 | 平均1,500万円〜 | 平均1,000万円程度 |
1つずつ説明していきたいと思います。
違い①:CXO案件の比率
まず1つ目の違いは「CXO案件の比率」です。
戦略コンサル | 総合コンサル | |
---|---|---|
CXO案件の比率 | 一定存在(15〜20%) | 少ない |
コンサルというとCEOをはじめとした経営レイヤーを相手に仕事をするイメージが強いですが、実態としてはそれだけではありません。最上位のCEOやCOOレイヤーに加え、本部長クラス、部長/課長クラス、係長/主任クラスといったレイヤーを相手にしますが、その割合がコンサルの種類によって大きく異なるのです。
戦略コンサル:CXOレイヤー、本部長クラスが主
まず戦略コンサルは、CXOレイヤーや本部長クラスがカウンターパートになることが一般的です。
コンサルティング産業が黎明期だった20世紀には、戦略コンサルはCEOクラスに特化して経営戦略や組織課題のコンサルティングを行なっていました。しかし戦略を描くだけでなく実行することの重要度が上がるにつれ、総合コンサル・ITコンサルが台頭してきます。その動きに合わせて戦略コンサルも本部長クラスの案件にまで進出をしたのです。
実態としては部長/課長クラスを相手取ったプロジェクトも結構存在していた感覚です。
総合コンサル:本部長クラス、部長/課長クラスが主
そして総合コンサルは、本部長クラスや部長/課長クラスがカウンターパートになることが一般的です。
会計事務所を母体とするBIG4などの総合コンサルは、かつて財務会計領域が主戦場でした。つまりCEOクラスの戦略領域は戦略コンサルに独占されており、未だにその傾向は強く残っています。しかし1990年代にERPなどデジタル化推進の需要が高まると、戦略コンサルのホワイトスペースとしてITコンサルという新市場が誕生します。もちろん現在でも本部長クラス、部長/課長クラス相手のプロジェクトが主ですが、こうした新テーマをきっかけにCXOレイヤーにも進出を進めているのです。
係長/主任クラスを相手取ったプロジェクトも存在し、これは明確に戦略コンサルとの違いと言えるでしょう。
違い②:課題の抽象度
2つ目の違いは「課題の抽象度」です。
戦略コンサル | 総合コンサル | |
---|---|---|
課題の抽象度 | 高い場合が多い | 低い場合が多い |
「課題の抽象度」というと難しく聞こえるかもしれないですが、簡単にいうと「何をするかを決めること」か、それが決まった上で「それを実行してゆくこと」のどちらがプロジェクトのスコープになるかということです。
戦略コンサル:課題を設定・定義することが仕事
まず戦略コンサルは、クライアントが抱える抽象的な課題を明確に設定・定義する仕事が一般的です。
例えば「DX」や「AI」といった新興テーマが現れたときに、どのように対処するべきかが明確な場合は少ないと思います。こうした時が戦略コンサルの出番です。そうした新興テーマや顕在化しきっていない組織課題に対して、クライアントにおける機会や脅威を割り出して対処法となる打ち手を明確にしてゆくのです。つまり「何をするかを決めること」が仕事なのです。
もちろん近年ではそうした課題設定・定義だけでなく、その後の実行部分を担うことも多いです。
総合コンサル:課題の解決を実行することが仕事
そして総合コンサルは、クライアントが抱える具体的な課題を解決する仕事が一般的です。
例えば総合コンサルのBIG4でいえば「財務会計でこういうことをしたいからお願いできない?」というように、クライアントが特定のテーマで「やりたいこと・実現したいこと」を実行してゆくことが総合コンサルの主な仕事となります。つまり「何をするか」が決まった上で、プロフェッショナルとしてそれを実現することが仕事ということです。
一方で、前述したように上流の戦略レイヤーに入り込めないことをずっと課題に感じていた総合コンサルは、ITやDXなどの新興テーマをきっかけに「スピード感が求められて実行が重要なこうした領域で、自分たちは戦略から実行まで全部できますよ」と戦略レイヤーにも進出しています。アクセンチュアがその典型ですね。
違い②:社員数
3つ目の違いは「社員数」です。
戦略コンサル | 総合コンサル | |
---|---|---|
社員数 | 比較的少ない(数万人) | 極めて多い(数十万人) |
端的にいうと、「何をするかを決めること」が主な仕事の戦略コンサルは社員数が少なく、「実行すること」が主な仕事である総合コンサルは多くの社員が必要になるということです。
戦略コンサルは日本オフィスは数百人、グローバルでは数万人規模
まず戦略コンサルは、日本オフィスは数百人、グローバルでは数万人規模となっています。ファームごとのグローバル・日本国内の人数はそれぞれ以下の通りです。
グローバルの社員数 | 日本オフィスの社員数 | |
---|---|---|
マッキンゼー&カンパニー | 約38,000人(2021年) | 約600人 |
ボストンコンサルティンググループ | 約21,000人 | 約950人 |
ベイン&カンパニー | 約13,000人(2021年) | 約100人 |
A.Tカーニー | 約4,200人(2019年) | 約200人 |
「少数精鋭じゃなくて結構多いじゃん」という感想を持たれる方も多いとは思います。結局は人が動かないとお金を稼げない「人工(にんく)ビジネス」である戦略コンサルには一定の従業員数が必要となります。近年では実行部分への進出に伴い、より多くの社員が必要になっているため社員増の傾向は続くでしょう。
ちなみに日本国内の上場企業の従業員数は平均で280人(2021年)なので、戦略コンサルは「もはや大企業である」と言えるかもしれません。新卒採用の人数も100人に迫っており、戦略コンサルの形は大きく変わりつつあります。
総合コンサルは日本オフィスは1万人、グローバルでは数十万人規模
そして総合コンサルは、日本オフィスは1万人人、グローバルでは数十万人規模となっています。ファームごとのグローバル・日本国内の人数はそれぞれ以下の通りです。
グローバルの社員数 | 日本オフィスの社員数 | |
---|---|---|
PwC(Strategy&) | 295,000人(2021年) | 約8,100人(2019年) |
デロイトトーマツ | 415,000人(2022年) | 約15,500人(2021年) |
EY | 363,399人(2022年) | 約9,500人(2022年) |
KPMG | 265,000人(2022年) | 約9,000人 |
アクセンチュア | 721,000人(2022年) | 約19,000人(2022年) |
戦略コンサルも思ったよりも人数が多く感じられたでしょうが、総合コンサルの人数を見ると「これに比べたら少数精鋭だ」と思うかもしれません。システム開発や業務改革などの「何かを実行する」プロジェクトを担当する総合コンサルに、戦略コンサルに比べて多くの従業員数が必要になります。「何をするか」を決める国会議員に対し、それを実行してゆく官僚や民間企業の数が膨大になるのと同じ論理です。
一方で、繰り返しになりますが「実行できること」の重要性は言うまでもありません。その豊富な人員リソースを武器にして総合コンサルは戦略コンサルの地位をどんどん脅かしつつあります。
違い④:プロジェクト報酬
4つ目の違いは「プロジェクト報酬」です。戦略コンサル・総合コンサルに対し、クライアントが支払うプロジェクト報酬の目安はそれぞれ以下の通りです。
戦略コンサル | 総合コンサル | |
---|---|---|
プロジェクト報酬 | 数千万円〜/月 | 数百万円〜/月 |
端的には、戦略コンサルの方が高いプロジェクト報酬が必要で、総合コンサルは比較的プロジェクト報酬が安い形になります。そしてこの違いは、それぞれが向き合うカウンターパートが扱える予算の大きさに起因しています。
戦略コンサルはCXOレイヤー、本部長クラスが主
まず戦略コンサルのプロジェクト報酬はひと月当たり数千万円程度になることが一般的です(当然プロジェクトの内容やスコープによって異なります)。
当然戦略コンサルの付加価値やフィーの高さも高い報酬の要因ですが、それ以上に大きいのが「誰を相手にしているか」と言う点です。戦略コンサルはクライアント企業の中でも最上位となる、CXOレイヤーや本部長クラスをカウンターパートにします。つまりクライアントの中で最も予算を持っている相手に請求が可能となるため、これだけ大きな報酬を得られるのです。
しかし当然何年も戦略コンサルに高いフィーを払い続けるわけにもいかないため、戦略コンサルのプロジェクト期間は短く、アサインされる人数も少ない場合が多いです(これが戦略コンサルの働き方にも大きく影響しています)。
総合コンサルは本部長クラス、部長/課長クラスが主
そして総合コンサルのプロジェクト報酬はひと月当たり数百万円程度になることが一般的です(当然プロジェクトの内容やスコープによって異なります)。
本部長クラスや部長/課長クラスがカウンターパートになる総合コンサルは、彼ら彼女らが持っている予算規模に応じて請求できる金額も比較的少なくなる場合が多いです。コンサルタント1人当たりの時間当たり請求額を「チャージ」と言いますが、総合コンサルのチャージは戦略コンサルに比べて2分の1から3分の1程度であることが一般的です。
しかし報酬が比較的安いと言うことは、裏を返せばクライアントとしてはプロジェクトを継続しやすいと言うことです。「実行」と言う性質からも、総合コンサルのプロジェクト期間は長くなることも多いのです。
違い⑤:給与・年収
5つ目の違いは「給与・年収」です。戦略コンサル・総合コンサルそれぞれの平均年収は以下の通りです(役職によって大きく異なるためそちらについても触れています)。
戦略コンサル | 総合コンサル | |
---|---|---|
給与・年収 | 平均1,500万円〜 | 平均1,000万円程度 |
前のパートで説明したプロジェクト報酬の違いは、給与や年収の違いにも大きく影響します。
戦略コンサルの平均年収は1,500万円程度
まず戦略コンサルの平均年収は1,500万円程度が一般的です。役職ごとの参考年収は以下の通りになります。
目安入社年数 | ベース年収 | 賞与 | |
---|---|---|---|
パートナー | 7年以上 | 5,000万円〜 | 業績に応じる |
プリンシパル | 5〜15年 | 2,000万円〜 | 固定級の10〜20% |
マネージャー | 2〜10年 | 1,500〜2,000万円 | 固定級の10〜20% |
コンサルタント | 0〜6年 | 800〜1,500万円 | 固定級の10〜20% |
アナリスト・アソシエイト | 0〜3年 | 500〜700万円 | 固定級の10〜20% |
高いプロジェクト報酬を請求できる戦略コンサルは、平均年収や給与も非常に高いものとなっています。
目安の入社年数を書いてはいるものの、当然年功序列制度のようにただ入社年数を重ねれば昇進できるわけではありません。しかし入社5年程度で1,500万円〜2,000万円の年収を得られる環境は、一般的な会社員に比べると破格と言えるでしょう。
総合コンサルの平均年収は1,000万円程度
そして総合コンサルの平均年収は1,000万円程度が一般的です。役職ごとの参考年収は以下の通りになります。
目安入社年数 | ベース年収 | 賞与 | |
---|---|---|---|
パートナー | 7年以上 | 2,000万円〜 | 業績に応じる |
シニアマネージャー | 5〜15年 | 1,300〜2,000万円 | 固定級の10〜20% |
マネージャー | 2〜10年 | 1,000〜1,400万円 | 固定級の10〜20% |
シニアコンサルタント | 0〜6年 | 700〜1,100万円 | 固定級の10〜20% |
コンサルタント | 0〜3年 | 600〜800万円 | 固定級の10〜20% |
戦略コンサルに比べるとプロジェクト報酬が低い総合コンサルは、平均年収や給与も比較的低いものになっています。
当然一般的な会社員に比べると非常に高い水準と言えますが、商社や広告代理店といった高年収の大企業と同じくらいの水準であることがわかると思います。しかし役職や給与は年功序列ではなく、実力や結果に応じて決定されるため、実力主義の環境を求めている方にとっては依然として日本企業よりも魅力的な環境に映るかと思います。
以上、戦略コンサルと総合コンサルの違いを説明させていただきました。細かく説明すると違いはまだまだあるのですが、これ以上の内容については、コンサル転職専門のエージェントなどに聞いていただけたらと思います。
戦略コンサルと総合コンサルの歴史
違いについて説明しましたが、こうした戦略コンサルと総合コンサルの違いを作った両者の歴史について解説したいと思います。非常に示唆に富んでおり、今後のコンサルティング業界についても見通しが立つかもしれません。
〜1980年:戦略コンサルと総合コンサルは相互不干渉
1926年にマッキンゼー&カンパニーが、1963年にはボストンコンサルティンググループが設立され、戦略コンサルティングファームの歴史は幕を開けました。そして当時はCXOレイヤーへの経営戦略や組織課題に関する提言という、純然たる「戦略コンサルティング」が彼らの生業でした。
一方で会計事務所を母体とするBIG4、そしてアクセンチュアは主に財務会計に関する提言を行っていました(実はアクセンチュアは監査法人のコンサルティング部門が母体なのです)。このように戦略コンサルと総合コンサルが担当する領域は明確に違っており、相互不干渉の状態が長らく続いていました。
1980年代〜2000年代:戦略・総合ともに新テーマのITコンサルへ進出
しかしその状況はIT技術の進展によって変化します。1980年頃までには情報技術に関するIT戦略が企業の今後を左右することが明らかになっており、金融機関のIT予算は爆弾に膨れ上がり、通信会社には多額の投資が集まっていました。
こうしたITへの投資の集まりに対して動いたのが総合コンサルです。特に会計・財務管理という数字を扱いITと相性が良い領域を担当していた会計コンサル各社は「システムコンサルティング」という新しい領域で、戦略コンサルに比べて安価なコンサルタントを送り込んでいました。経営と直結する新市場で戦略コンサルに挑戦を仕掛けたのです。
以下のように、会計コンサルやIT企業が戦略コンサルティング部門を次々と設立してゆきます。
- アーサー・アンダーセン:アンダーセンコンサルティングを設立(後のアクセンチュア)
- デロイト:デロイト・コンサルティングを設立
- EY、KPMG:コンサルティング部門を設立
- IBM等のIT企業:コンサルティング部門を設立
今まで下に見ていた会計コンサルが新しい巨大市場において自分達以上に存在感を出し始め、戦略コンサル各社も対応が必要になりました。当然自社だけでのケイパビリティ拡張には限界があったため、マッキンゼーは1990年に技術コンサルティング会社のICGを1000万ドルで買収したのです。
- マッキンゼー&カンパニー:ITコンサルのICGを買収
- A.T.カーニー:ITサービス大手のEDSの傘下に入り、ITのケイパビリティを拡充
この取り組みはエリート主義のマッキンゼーと、技術主義のICGのPMIがうまくいかずに大失敗に終わったものの、その後マッキンゼーはCTOに対してアドバイスを行うBTO(ビジネス・テクノロジー・オフィス)を立ち上げてIT領域でも存在感を出すようになります。このようにして戦略コンサルと総合コンサルの対象市場が少しずつ被り始めたのです。
2010年代〜現在:総合コンサルが戦略コンサルを買収、戦略コンサルも規模拡大へ
ITコンサルティング市場を皮切りに、高価な戦略コンサルに対して、廉価なコンサルタントを競争優位性にする総合コンサルの挑戦は続きました。戦略に特化していた戦略コンサル各社も実行部分への進出をやむなくされ、新卒採用の間口を広げるなどの動きを続けていきます。
2010年代前半には総合コンサル各社がさらに攻撃を仕掛けます。戦略コンサル会社を買収して傘下に置くことで、戦略コンサルティング市場にも直接的に参入してきたのです。PwCが買収したブーズ・アンド・カンパニーは、「経営コンサルティング」を初めて提唱した会社でもありました。
- デロイト:マイケル・ポーターらハーバードビジネススクール教授陣が設立したMonitor Groupを2013年に買収
- PwC:ブーズ・アンド・カンパニーを2014年に買収し、同社の戦略コンサル部門・Strategy&として合併
こうした総合コンサルの動きに加え、2010年代後半になると「AI」「IoT」「自動運転」「DX」などデジタル技術に紐づいた新テーマがバズワード的にビジネスの世界を席巻してゆきます。戦略コンサル各社はITコンサルティング市場で味わった苦渋の二の舞になるのを避けるべく、デジタル領域を中心に実行部隊を編成してゆきます。
- マッキンゼー:2115年にデザインコンサルLUNARを、ITコンサルのQuantumBlackを買収
- BCG:2014年にデジタル領域の実行部隊・BCGDVを設立、2016年に購買コンサルInvertoを買収
戦略コンサル各社はこうしたデジタル組織の立ち上げに際し、総合コンサル各社から人材の引き抜きを行い、戦略コンサルと総合コンサルの戦いはさらに熾烈を極めています。現在ではアクセンチュアがその圧倒的な人的リソースで実行が伴うデジタル領域で存在感を増すなど、戦略コンサル各社は規模拡大を続けるか、戦略特化に立ちかえるかを迫られているでしょう。
このように、戦略コンサルと総合コンサルは出自は全く異なるものの、歴史の中でその境目は曖昧になってきているのです。
各種コンサルティングファームの分類
このように戦略コンサルと総合コンサルの領域は重なってきているものの、転職や就活においては未だその区別ははっきりとしています。さらには会計コンサル・ITコンサルといった区別もあるため、わかりやすい一覧表を用意しました。
戦略コンサル | 総合コンサル | 会計コンサル | ITコンサル | |
---|---|---|---|---|
マッキンゼー&カンパニー | ✔︎ | |||
ボストンコンサルティンググループ | ✔︎ | |||
ベイン&カンパニー | ✔︎ | |||
A.T.カーニー | ✔︎ | |||
ローランドベルガー | ✔︎ | |||
アーサー.D.リトル | ✔︎ | |||
アクセンチュア | ✔︎ | ✔︎ | ✔︎ | |
PwC(Strategy&) | ✔︎ | ✔︎ | ||
デロイトトーマツ | ✔︎ | ✔︎ | ||
EY | ✔︎ | ✔︎ | ||
KPMG | ✔︎ | ✔︎ | ||
アビームコンサルティング | ✔︎ | ✔︎ | ||
ベイカレント | ✔︎ | ✔︎ | ||
IBM | ✔︎ | ✔︎ | ||
野村総合研究所 | ✔︎ | ✔︎ |
「領域は重なってきている」という前提のもとで、上記の分類を参考にしていただけたらと思っています。
戦略コンサルの魅力
このようにコンサルティング業界はダイナミックな変化を迎えている最中ですが、それでも戦略コンサルティングファームは総合コンサルに比べても以下のような魅力を備えています。
- ハイレベルな環境
- 人的資産・ネットワークの獲得
- 高い給与水準
- キャリアの選択肢の広がり
1つずつ簡潔に説明していきたいと思います。
ハイレベルな環境
総合コンサルはその急激な規模拡大に伴い、著しく質が低下している噂を聞くことも少なくありません。
- プロジェクトチームが全員入社半年以内
- エクセルの更新を行うだけの単純作業を行う案件に拘束されている
- コンサルティングの質が著しく低下して炎上した
「石を投げればアクセンチュア」と揶揄されるように総合コンサルの規模拡大と質の低下は不可分な関係にありますが、戦略コンサルは充実した研修制度や一緒に働く同僚など、しっかりと成長が期待できるハイレベルな環境にあります。
人的資産・ネットワークの獲得
こうしたハイレベルな環境に紐づくのが、ポストコンサルでも役に立つ人的資産やネットワークです。スタートアップ経営者・事業会社幹部・独立・PEファンド設立など戦略コンサル卒業生の活躍の幅は多岐に渡り、総合コンサルの比ではありません。最近では、BCGの津坂美樹氏が日本マイクロソフトの新社長に就任したことが話題になっています。
高い給与水準
上述したように戦略コンサルと総合コンサルでは給与・年収に大きな差があり、役職が上がれば上がるほどその差は大きくなっていきます。当然ファームや役職によっても異なりますが、戦略コンサルへの転職で平均1.5倍にはなるでしょう。
キャリアの選択肢の広がり
人を増やし続けている総合コンサルに対し、戦略コンサルの社格や経歴は転職市場や今後のキャリアで大きな強みを発揮します。例えばポストコンサルで人気のPEファンドは「戦略コンサル出身者」という条件をつけているところが多いのです。
コンサル転職を考えている方へ
このようにコンサルティング業界はダイナミックな変化を迎えている最中ですが、戦略コンサル・総合コンサルどちらをとっても実力主義のチャレンジングな環境で、年収や給与も非常に高水準です。
また戦略コンサルには上述したような確たる魅力があり、総合コンサルに勤めている方にとっては、ファームtoファームで戦略コンサルに転職することで、給与水準のアップ、今後のキャリアの広がりなど様々なメリットを享受できます。
こうしたコンサルティングファームへの転職・採用通過には独特なプロセスや様々なノウハウが必要です。予備知識や準備なしで転職にチャレンジするのはあまりにも無謀のため、アクシスコンサルティング、
ビズリーチ、STRATEGY:BOOTCAMP(ストラテジーブートキャンプ)がおすすめです。
アクシスコンサルティング

アクシスコンサルティングは、コンサルへの転職、ファームtoファーム、ポストコンサル転職、独立など、コンサルに関わるあらゆるキャリア支援をおこなっている国内最大級のコンサル転職支援サービスです。
BIG4(デロイト、PwC、KPMG、EY)や アクセンチュアなどの総合系コンサルティングファームを中心に、BCGなどの戦略コンサルまでコンサルに特化したたエージェントとなっています。実際に2014年〜2021年にかけて大手コンサルティングファーム在籍者の転職支援数第1位に輝いています。
また通常の転職サイトでは、MBBと呼ばれるマッキンゼー・ベイン・BCGの求人案件は取り扱っていないことが殆どです(BCGは2018年頃から結構オープンになってきた印象ですが)。しかしアクシスはコンサル特化型エージェントとして、クライアントとなるコンサルティングファームから信頼やパイプを得られている結果、約77%が他では公開されていない非公開求人となっているそうです。
会員登録を行って初回面談をセッティングすると、まずは今後のキャリアプランやコンサルティングファームの特徴やコンサル転職のアドバイスを丁寧に説明してもらえます。実際に私が初回面談を行ったときには、コンサルティングファームを分類・マッピングした資料を頂き解像度が高まったのを覚えています。
コンサルティングファームに少しでも興味がある方ならば、必ず登録した方が良いでしょう(転職エージェントは転職成立時にクライアントから報酬が発生するビジネスモデルのため、利用はもちろん無料です)。
ビズリーチ

ビズリーチは「キャリアアップ」「更なる、新しいチャレンジ」を目指すハイクラス向け転職サービスで、扱う求人は「年収500万円以上」のものがメインとなります。いわゆる「ダイレクトリクルーティング」と呼ばれるもので、経歴を登録しておくとさまざまな企業やヘッドハンターからオファーが届きます。
普通の転職サイトでは登録者が求人を検索して自分で応募する必要があるため、ある程度自分の中でキャリアビジョンや目的が決まっていないと上手く活用できません。しかしビズリーチでは、様々なオファーを見たり面談をすることで、キャリアビジョンや目的が決まっていない状態でも、客観的な自分の評価を確認し情報も手に入れることができるのです。
実際に私は社会人1年目からずっとビズリーチに登録しているのですが、マッキンゼーとBCGからダイレクトオファーが届きました。それが戦略コンサルとの初めての接点で、「あ、本当に戦略コンサルに転職できるんだ」と一気にモチベーションが高まったことを覚えています。
ビズリーチは一定期間を超えると課金されるフリーミアムモデルですが、登録時に求められる基本情報や詳細情報の登録を全て完了させれば、30日間は無料で使うことが可能です。自分のキャリアの現在地を確認したい方は、是非活用いただけたらと思っています。
STRATEGY:BOOTCAMP(ストラテジーブートキャンプ)

こうした転職サービスを使った結果、「実力が足りないかもしれない」「選考通過の確度を高めたい」と思う方には、MBB転職を専門で支援しているSTRATEGY:BOOTCAMP(ストラテジーブートキャンプ)がおすすめです。
ベイン出身のメンバーが中心になって立ち上げたResolve Capitalが運営している比較的新しいサービスのようですが、トップ戦略コンサルへの内定率73%という驚異的な実績をあげています(※)。
(以下のような注意書きがありました ※「MBB突破コース」を修了及び2021年9月~2022年8月に受験を完了した生徒の内、各社の書類選考で極端に不利にならない学歴・職歴・年齢等に関する所定の条件(入会前のカウンセリング時に条件に合致するかをお伝え致しております)を満たす生徒が、トップ外資戦略コンサルファーム8社(マッキンゼー・BCG・べイン・ATカーニー・ADL・ローランドベルガー・Strategy&・アクセンチュア戦略グループ)のいずれかに内定した割合です)
特徴的なこととして、実績部分にはベイン・アンド・カンパニーに内定・転職した方の声が多数書かれていました。MBBの中でもベインは特に戦略部分に特化しており、近年の実行部分への進出に伴い採用の門戸を広げているマッキンゼー・BCGとは異なり、いまだに採用を絞っています。
恐らくはメンバーがベイン出身ということもあって独自のパイプや窓口もあるのだとは思いますが、上記のような転職サービスでもなかなか出てこないベインへの転職支援実績があることは一番の特徴だと言えるでしょう。
>>STRATEGY:BOOTCAMP(ストラテジーブートキャンプ)公式ページ
コンサル転職に迷っている方へ
以上、戦略コンサルと総合コンサルの違いの説明に始まり、コンサル転職に有用なサービスも紹介させていただきましたが、結局は自分で動いてみないと何も変わりません。いくらこうした記事を読んで情報収集をして分かった気になっても、転職サービスやエージェントを通して具体的に行動しないと、結局何も進んでいないからです。
私ではカバーしきれていない情報や最新の動向などもあるため、まずは上記のような情報をもとにして生きた情報を仕入れ、具体的な転職スケジュールやそれに向けた対策などをエージェントと洗い出してゆくことをお勧めします(もちろんそうした中でコンサル転職以外の道が見つかることもあると思います)。
最後に改めてコンサル転職で活用されるサービスの比較表を掲載させていただきます。
まとめ
以上、戦略コンサルティングファームと総合コンサルティングファームの違いについて、その歴史や経緯を含めて解説させていただきました。コンサル転職に本気のあなたに役立てば幸いです、転職活動が成功することを祈っています。